家計支出に占める割合が高まっている!?
安倍晋三首相は9月11日の経済財政諮問会議で、「携帯料金などの家計負担の軽減は大きな課題だ」と述べ、スマホ通信料などの負担を減らす方策を検討するよう指示したとのこと。
この件は、同日付け日本経済新聞ネット記事で報じられている。記事では、高市早苗総務相が「低廉にできる方策を検討する」と応じたとか、甘利明経済財政相が「(携帯電話業界は)3社体制で固定化していて、競争政策が働いていないという指摘もある。総務相はきちんとした回答を持ってくると思う」と述べたとある。
こんなふうに、その場で即レスができるということは、閣内で既に意思統一ができていた証である。安倍内閣は、ケータイ料金の引下げにかなり本気のようだ。この日の経財諮問会議で、本件の問題提起は、閣僚(役所)からではなく、有識者議員(民間人)からの提案という形式となっているが、実質的には役所の主導。
政治の話題は、9月18日未明に成立した安全保障関連法に関するそれまでの一連の騒動にばかり集中し、しかも大方のマスコミは批判的な論調。支持率も40%前後で、歴代内閣に比べたら相当高いが、安倍内閣としては高くない状態。日本国内の景気動向は一進一退。
安倍政権は安保法成立にばかり熱心で、デフレ脱却や経済再生という「経済面の課題」に対しては無関心なのではないか?
そんな問い掛けに対して、今や「国民1人当たり1台以上」となっているケータイの料金引下げを持ち出すというのは、我々一般庶民には心地良い響きに聞こえる!と政権中枢が思うのも無理からぬこと。
その経済面の課題を突破するための構造改革の優先課題として、「家計支出に占める割合が高まっている情報通信の競争環境の整備」を提起し、その具体的な話として、ケータイ料金の引下げを打ち上げたわけだ。実際、経財諮問会議の資料を見ると、そのように示されている〔資料1〕。
2人以上勤労者世帯の通信費は年間18.8万円で、ここ10年間で家計支出に占める割合は2割上昇(4.1% → 4.9%)した。これを見ると、ケータイ料金の負担増は相当なものだ! 早く値下げしろ! となるかもしれない。
ケータイ料金値下げは、消費者にとって悪い話ではない。できれば安くしてもらいたい。しかし、これだけでそんなに喜べる話になるのだろうか?