学歴を意識した同窓のつながり

「何かの勉強をしておきたい」という衝動に駆られ、会社に在籍中、勤務時間中に資格試験の勉強を続けた。1年間で宅地建物取引主任者、行政書士、社会保険労務士の試験にトリプル合格。いずれも1回目の試験だった。

1989年、当時としてはめずらしく、27歳で社会保険労務士・行政書士として開業した。とはいえ、実務経験はなく、顧客はゼロで、無収入。しばらくは貯蓄で食いつないだ。埼玉県内に住む立命館出身の弁護士を訪ね、事情を説明し、会社設立の書類を書く仕事などを請け負った。

「このときは、学歴を意識しましたね。ありがたいことでした。感謝しています。立命館OBは同窓のつながりがあまりないんですよ。僕も息子(立命館大学法学部卒)も含め、愛校心が弱いのかな(苦笑)。娘(早稲田大学法学部4年)に聞くと、早稲田は強いよね。立命館と早稲田の違いは、そのあたりでしょうかね」

1990年代後半~2003年頃までは、助成金の仕事が大量に舞い込む。いわゆる「助成金バブル」の時代を迎える。一定の条件を満たす会社の代わりに書類を書き、役所に申請する。審査を通過すると、その会社が助成金の支給を受ける。額は、数十万円から数百万円。そのうちの1~2割を社労士が報酬として受け取る。

この数年間は、売り上げは3000万円を超えたという。

「この頃の貯蓄があるから、なんとか生きていくことができるのです。もう、そんな時代は来ないでしょう。今、開業社労士は3万人弱。今後、10~20年でその4分3は売り上げが少なく、廃業したり、兼業したりせざるを得なくなりますよ。かなりの人が淘汰されます。これから社労士になるのは止めたほうがいい。マイナンバー制度の導入で、一段と仕事を失い、苦しむ人が増えます。僕は、子どもには絶対に勧めません」

さらに、こんな指摘もする。

「学歴が立派であったとしても、本当の意味で優秀な人は社労士にはなりませんよ。深く考える力があり、独創的なビジネスモデルをつくることができるならば、もっと収入が多く、活躍できるはずです。ほとんどの人は収入が少なく、苦しんでいますからね。社労士は劣等感が強くて、つまらない人が多い。彼らのブログを読むと、実につまらない。

実際に会うと、もっとつまらない(苦笑)。自らの仕事に誇りを持っていないのです。だから、"弁護士・社労士"とレッテルを張り、虚勢を張るのでしょう。言い換えると、依存心が強いのだと思います。資格に頼り過ぎなのです。それ以外のものを持ち合わせていないからでしょうね」