岡田の倹約はテロ行為だ

長妻氏周辺のリベラル勢力を味方につけた!

安倍政権が誕生し、私が内閣参与として総理官邸に戻ったとき驚かされたことがある。官邸で新聞を読みたいと思ったら、同じ肩書の人間で全国紙を1紙だけ選んで回し読みしなければならなくなっていた。当時、内閣参与は7人だったから、全員が朝刊を読もうとすると、7人目の私に回るころには、夕刊が出る時間になってしまう。日本の中枢である総理官邸で、こんな度を越した倹約を始めたのは民主党政権で副総理を務めた岡田だ。地方紙も専門紙も雑誌も、官邸で定期購読をやめてしまった。これでどう情報収集をしろというのだろうか。

さらに岡田副総理時代に名刺印刷代が自己負担に変わった。官邸内の飲み物代も自己負担。お客様に出すお茶の葉もそれぞれで用意しなければならなくなった。官邸に勤務する人間は、仕事で人に会う費用はすべて自己負担というわけだ。公務で人に会うなと言っているに等しい。

例えば、重要な取引先のお客様にお茶も出せない企業に未来はあるか。自分の名刺とお茶代だけ自分の財布から支出すれば美談になる話を、人にまで強要するから組織が機能不全になる。

岡田副総理の置き土産でさらに評判が悪かったのが、各省庁の審議官クラスが使用する公用車を廃止したことだ。事情を知らないと「ムダを削減したよい仕訳」と思われるかもしれないが、これも官僚の仕事の効率を著しく悪化させた。

倹約家の岡田が車の使用を許可した局長以上が暮らす官舎は、麻布や麹町といった都心の一等地にあり、霞が関からは少し頑張れば徒歩圏内。おまけに局長以上ともなれば、交渉相手は先方から訪ねてくれることがほとんどで、車を使う頻度は低い。

一方、岡田から公用車の使用を禁じられた審議官や課長クラスは、国会の根回しや、地方との折衝など、官僚の中でも最も飛び回らなければいけない役職だ。車がなくなって非常に仕事を進めにくくなった。自分の大臣車は廃止してないのだから、これは審議官クラスへのイジメと言って差し支えなかろう。

岡田がこれだけやって節約できた予算は約4000万円。国家予算96兆円と比較して、0.00004%だ。国会議員1人あたりおよそ1億円もの歳費が払われているのだから、民主党の国会議員を一人辞めさせれば十分にお釣りがくる。もしくは、自分の歳費を受け取らなければ済む金額程度のことだった。

4000万円で、世界最高のシンクタンクともいわれる霞が関の官僚のモチベーションと効率を低下させた。もし意図してやっていたのなら、効率のいいテロ行為だった。

うわさによると、岡田と一緒に出張すると昼食も夕食もすべて割り勘になるという。岡田から「君、どれにする?」とメニューを渡され、「これにします」と言ったら、その金額を徴収されたと聞く。