運転士になりたい! と言い続けた
御花畑駅には西武線が乗り入れているので、たくさんの運転士が乗務交代のため駅事務所にやってきます。実は私は入社後もやっぱり運転士になりたいという気持ちが消えなくて、その度に他の人や上司に「運転士になりたいんです」と希望を伝えていたんです。
タイミングや運というのもあったのでしょう。ちょうど入社から1年が経った頃、秩父鉄道でも女性運転士の登用が始まったんです。聞けばこれまで女性運転士がいなかった秩父鉄道では、宿泊所もトイレも男性用しかなくて、その準備が整ったので登用を始めたとのことでした。会社から声をかけてもらえた時は、運転士になりたいっていう強い気持ちを捨てずに希望を言い続けてきて良かった、って思いましたよね。
電車の運転士になるためには、運転免許証を取得しなければなりません。いま私が持っているのは、動力車操縦者運転免許証と言います。これを取るためには教習所に通う必要があります。
秩父鉄道では運転士の教習を他社に委託しているんです。なので、私は列車区に異動して車掌見習いをしながら入所試験の勉強をして、合格後は委託先の教習所に10カ月間、通うことになりました。
1986年埼玉県出身。2007年秩父鉄道株式会社入社。御花畑駅員、車掌見習いを経て、運転士養成のための教習所に入所。2009年甲種動力車操縦者運転免許証を取得し現職となる。
稲泉 連=構成 向井 渉=撮影