髪を振り乱して両立してきた

ジャパンタイムズ執行役員 編集・デジタル事業担当 大門小百合さん。

記者になろうと思ったのは学生時代にテレビ局でアルバイトをし、色々なところからニュースが集まる現場がエキサイティングだったからです。高校ではアメリカ、大学ではニュージーランドへ留学し、英語を使った仕事に就きたいという気持ちもあったので、ジャパンタイムズは「自分の英語力を活かせるかもしれない」と思いました。でも入社すぐのころは、書く記事、書く記事、真っ赤に直されて戻ってきて落ち込みました。

記者というのはニュースに振り回され、取材先の都合に左右される仕事です。自分でスケジュールを組むことはかないません。小さな子どもを育てながらできる仕事ではないと思われていました。今もその状況はあるでしょう。同期入社の女性が数名いましたが、会社に残っているのは私だけです。子どもをもちながらデスクになったのもジャパンタイムズでは私が最初です。

仕事と子育ての両立は毎日が綱渡りです。誇張でなく「髪振り乱して」がぴったりの言葉です。昨年10月に執行役員になり、ジャパンタイムズ117年の歴史の中で初の女性編集責任者として、編集部門をリードする重責を担ったのですが、社外の女性たちからの問い合わせがどっと押し寄せたのには驚きました。メディアも含め、他社で役員一歩手前の人たちや管理職を目指している女性たちも、私と同じように悩みを抱えて迷いながら仕事をしていることを知りました。