新型デミオの実験統括として
マツダの主幹として私が担当しているのは、今月(2014年9月)に発売された新型デミオです。実験統括と言って、クルマの「走る」「曲がる」「止まる」といった“味付け”の部分はもちろん、基本骨格を決める段階から各実験部の担当者とコンセプトを共有し、製品の全体の性能を取りまとめてきました。
例えばクルマのキャラクターというのは、無数の素材の一つひとつが共通のコンセプトのもとに調和してはじめて出来上がるものです。
ハンドルの重さ、ペダルの重さ、ステアリングを切った際の感覚――。
担当する技術者にはそれぞれにとっての理想がありますが、みんながまちまちの思いで開発をしたら乗り味がバラバラになってしまいます。そこで、設計段階から担当者と議論を重ね、イメージに合う他の車種を一緒に乗り比べながら、どのようなクルマを作るかという方向性を決めていく。
まずはどのようなクルマにしたいのかという理想を描き、それに近いハンドリングはA社のBという車種、ブレーキの重さはC社のDという車種、とすでにあるクルマの中から探し出し、それを数値に落とし込みながら、全員で全く新しい1台を作り上げて共有するんですね。