街を歩いていると「おや、こんなところに草が生えている」と驚くことがある。ビルが林立するアスファルト道路の割れ目など、思わぬ隙間で花を咲かせている植物に気づくのだ。本書はこうした「スキマの植物」を美しい写真で紹介した新書版のカラー図鑑である。

東大理学部植物学教授といういかめしい肩書を持つ著者が、総計110種もの植物について解説を加えているが、独特の軽妙洒脱で上品な文章が最後まで読者の気を逸らさない。たとえば、カタバミの種子がはじける様子について、「子どもの頃、遊んだことがある方ならよくご存じだろう。けっこうな勢いでタネを飛び出させるので、子どもの薄い皮膚にとっては痛いほどである」と叙述する。

では、なぜ植物たちはわざわざスキマに生えているのであろうか。そのポイントは、光合成によって栄養を摂取する植物には、水と日光と通気の良い場所が不可欠だという点にある。すなわち、「隙間に生えるということは、過酷な環境への忍耐などではなく、(中略)むしろ天国のような環境の独り占め」なのである。

【関連記事】
トカゲ・ヘビ・カメは、オス抜きで子がつくれます
こんなにありますバッタの謎
現在の地球人口は、有史以来の全人類の14%
『生命の起源を宇宙に求めて』
4年以上絶食しても、死なない生き物とは?