街を歩いていると「おや、こんなところに草が生えている」と驚くことがある。ビルが林立するアスファルト道路の割れ目など、思わぬ隙間で花を咲かせている植物に気づくのだ。本書はこうした「スキマの植物」を美しい写真で紹介した新書版のカラー図鑑である。

東大理学部植物学教授といういかめしい肩書を持つ著者が、総計110種もの植物について解説を加えているが、独特の軽妙洒脱で上品な文章が最後まで読者の気を逸らさない。たとえば、カタバミの種子がはじける様子について、「子どもの頃、遊んだことがある方ならよくご存じだろう。けっこうな勢いでタネを飛び出させるので、子どもの薄い皮膚にとっては痛いほどである」と叙述する。

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