「プレーの言語化」でプロ野球選手でももっと上手くなる

「コーチングは相手に答えや正解を押しつけることなく、対話を通して成長を促します。とくに選手へのコーチングでは、反省から気づきを得られるように行動の振り返りを徹底します」

千葉ロッテマリーンズ現役監督である吉井理人氏は、選手への指導で「コーチング」を重視する。

吉井理人
吉井理人(よしい・まさと​)
千葉ロッテマリーンズ監督。1983年ドラフト2位で近鉄バファローズに入団。98年から2002年までメジャーリーグでプレー。現役引退後、NPB3球団と侍ジャパンで投手コーチを歴任。23年より現職。筑波大学大学院修士(体育学)。

吉井氏は2022年に米ロサンゼルス・ドジャースへ短期留学し、MLB最先端のスポーツサイエンスを学んだ。

選手と対峙する際、とくに意識しているのは「聴く」ことだという。

「マリーンズにはもとから口達者な選手もいますが、口下手な選手のほうが多い。選手には上手に喋れるようになってほしいので、聴くことを大事にしています。ただし、単に選手の聴き役に徹するのではありません。選手が喋るなかで自分のプレーを振り返り、言語化する手助けをするのです。プレーを言語化することで得られる気づきと主体的な行動変容こそが、コーチングの要諦です」

監督1年目の昨季は自分自身で選手の話を聴くことも多かったが、それではコーチの役割がなくなる。そのため、今季は選手との対話をなるべくチームのコーチ陣に任せようと意識している。

しかし、コーチが吉井氏の狙い通りに「聴く」ことを実践するのは、なかなか簡単な取り組みではないようだ。

「つい自分の経験や感覚を頼りに選手にアドバイスするコーチが多いです。かといって、監督がコーチをコントロールしようとすると窮屈な指導になってうまくいかない。『コーチをコーチング』と言うとおこがましいのですが、最近はコーチの話をよく聴くようにしています」

吉井氏は、マリーンズが22年のシーズン最終戦を終えた直後に監督就任を要請された。突然の人事に頭の中が真っ白になったというが、監督就任に迷いはなかったのか。

聴く監督
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「チームが優勝に向かって、ひとつにまとまったときの高揚感は格別です。少年時代の運動会や文化祭の盛り上がりに似ています。大人になった今、それを味わえるなんて素晴らしいと思いませんか。たしかに毎日心労続きで大変な仕事ですが、監督就任に迷いはなかったですし、本当に引き受けてよかったです」

(文=村尾信一 撮影=小田駿一)

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