「みんなで考える」は意外に有効じゃない

大勢のブレストは逆効果?

会議室に人を集めて、司会進行役が「自由に意見を出し合いましょう」と声をかけるという、アイデアを増やすための定番のやり方ですが、その効果を疑った研究があります。

シラキュース大学のマレンらは、ブレインストーミングを扱った18本の論文・20件の研究をまとめて分析しました。多くの組織がこれまで信じてきた「みんなでアイデアを出し合うのがよい」という前提をデータで点検しようとしたのです。

一人で考えるほうがアイデアの数も質も上

比べたのは、みんなで話し合うグループと、同じ人数がばらばらに1人で考えるやり方でした。アイデアの数を調べた34件の検定でも、質を調べた9件の検定でも、みんなで話し合うグループは1人で考えたグループより明らかに劣っていたのです。

つまり、アイデアの数と質の両面において、1人で考えたほうが勝っていたという衝撃的な結果でした。

人数が増えるほど発想は乏しくなる

さらに驚いたことに、集まる人が増えるほど、その不利はさらに大きくなりました。大勢で囲むほど、一人ひとりの頭の動きが止まっていくのです。

【図表】「みんなで考える」より「1人で考える」
出典=『世界の科学が証明したひらめきにいいこと101』(フィレスト出版)

誰かの発言を待つあいだに思いついたことを忘れたり、人前で口にするのをためらったり、似た意見につられてしまったり。そうやって独創的な発想はいつのまにか削られていきます。アイデアを増やしたいなら、まず1人で紙に書き出す時間を先につくりましょう。持ち寄って見せ合うのは、そのあとで構いません。

前出のKJ法などを、多人数での話し合いに応用すると、効率的に個人の意見を集めやすくなるでしょう。

堀田 秀吾(ほった・しゅうご)
明治大学教授

シカゴ大学大学院言語学部博士課程修了、オズグッドホール・ロースクール修士課程修了・博士課程単位取得退学。心理言語学、法言語学、コミュニケーション論を専門とし、学術的な知見を「今日から使える知恵」に翻訳することをライフワークとし、著書は70冊を超える。67万部を突破した『科学的に証明された「すごい習慣」大百科』(SBクリエイティブ)のほか、『科学的に元気になる方法集めました』『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』など、科学の力で日常を変えるシリーズは累計178万部を突破。NHKラジオ「ラジオ深夜便」レギュラー・パーソナリティをはじめ、ラジオ・テレビ・新聞・雑誌・WEBなど多彩なメディアで、専門家としての視点を発信中。