※本稿は、堀田秀吾『5日で自分の才能が見つかる本』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
勘違いしがちな「才能の正体」
才能と聞くと、つい1人でがんばる姿を思い浮かべます。1人でコツコツ何かを極めた人や、1人で表現を磨き続けた人。そんな絵が頭に浮かびます。でも、性格的強みの研究を見ていくと、才能をうまく使えるかどうかは、人とのつながりの良し悪しと深く結びついていることが分かってきます。
アリエル大学のボイマン=メシタとリットマン=オヴァディアは、177組の夫婦に協力してもらい、性格的強み(VIA測定で診断される24の特性)と夫婦仲の良さとの関係をアクター・パートナー相互依存モデルという統計手法で調べました。
これは、夫の強みが夫自身の満足度にどう効くか(アクター効果)と、夫の強みが妻の満足度にどう効くか(パートナー効果)を同時に見られる便利な道具です。関係性を調べる研究で力を発揮します。
先行研究の因子分析によって、24ある性格的強みのうちの17を次の3つの大きなまとまりに整理することができます。
1つ目は「ケアリング(caring)」。親切心や愛情、感謝、チームワーク、社会的知性、リーダーシップといった、人と人を温める性質の集まりです。
2つ目は「セルフコントロール(self-control)」。誠実さや慎重さ、自己統制、忍耐力、そして謙虚さといった、自分をしっかり手綱で握る性質の集まりです。
3つ目は「探究心(inquisitiveness)」。好奇心や創造性、熱意、勇敢さ、希望や学ぶ楽しさといった、世界を探っていく性質の集まりです。
強みが発揮できるかは「人との関係性」次第
分析からは、面白い形が見えてきました。3つの強みのまとまりは、どれも本人の夫婦満足を高めるアクター効果が確かめられました。しかもパートナー効果も働いていて、相手の夫婦満足度の高さとも結びついていたのです。
ただ、その広がり方は男女できれいに対称ではありませんでした。たとえば男性の好奇心や自己統制は、女性の夫婦満足度の高さとしっかり結びついていました。一方で、男性の温かさ(ケアリング)が女性の満足に及ぼす効果は、思ったほどはっきりしませんでした。強みがどう伝わるかは、相手と場面の組み合わせ次第なのです。
ここで、才能の見方を少しずらしてみます。最初にお話しした「1人でがんばる才能像」は、じつは本当の姿とぴったり重なるわけではありません。本人の持ち味は、本人の中だけで終わらず、まわりの人の状態まで変えていく波になって広がります。
たとえば「学ぶ楽しさ」を強みに持つ人は、家庭の話題に新しい本や面白い動画を持ち込みます。すると配偶者もその刺激を受けて、自分の興味の世界が少し広がるというのが、パートナー効果の正体です。
逆の見方もできます。