会議で言いたいことがあっても「もし反応がなかったら」と思うとなかなか発言できないときにはどうしたいいのか。明治大学教授の堀田秀吾さんは「人間の行動に関する最新の研究結果を活用することで、こうした場合への対策ができる」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、堀田秀吾『最新研究でわかった“他人の目”を気にせず動ける人の考え方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

オフィスで会議中
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なぜ会議が「シーン」としてしまうのか

会議で、何か言わなきゃと発言したものの反応がないと、「あー、的外れなこと言っちゃったかな?」と焦りますよね。メールやSNSでも同様です。

誰も反応してくれなくて、しょんぼりした経験は多くの人が持っていると思います。

しかし、気にしないでください。

「社会的手抜き」、「傍観者効果」、「リンゲルマン効果」などと言って、人は、他の人の数が多くなればなるほど、自分がやらなくても誰かがやってくれるだろうという気持ちになり、やらなくなります。

会議での発言への反応も同じです。誰かがあいづちを打ったり返事をしてくれるだろうとお互いに思っていて、結局誰もやらない、反応しないという事態が発生するのです。

私たちは、誰かと2人きりで会話しているときは、相手の発言に対して、必ずうなづき、あいづち、合いの手など何らかの反応をします。しかし何人かが同席していたら、ましてや大人数だったらそれほど反応を表現しなくなりますよね。そういうことなんです。

一大事であっても「傍観者効果」は起こる

ニューヨーク大学のダーリーとコロンビア大学のラタネが行った実験があります(*1)

議論をしているときに突然、参加者の1人が発作を起こすという緊急事態が起こった場合、人はどういう行動をとるかを観察したのです。

結果、他に誰もいない状況では全員がスタッフに連絡したのに対し、他の人が4人いる状況では、なんと4割近くの人が連絡しなかったのです。自分以外の参加者が多くなれば多くなるほど、みずからは動かなくなることがわかったのです。

発作という生命にも関わる一大事でさえ、このような傍観者効果が起こるのです。会議で誰も反応してくれないなんていうのは、当たり前も当たり前です。気にすることないのです。

(*1)Darley, J.M. & Latané, B. (1968) . Bystander intervention in emergencies: Diffusion of responsibility. Journal of Personality and Social Psychology, 8 (4) , 377–383.