「ツンデレ」が一番効果的
なお、サクラが女子大生の印象を評価するさいには、次の4パターンで行うよう決められていました。
(B)ずっとツンツン(最初から最後まで非好意的)
(C)デレデレの後にツンツン(好意的に接していたのに最後に非好意的になる)
(D)ツンツンの後にデレデレ(非好意的に接していたのに最後に好意的になる)
注目したいのは、この4パターンのサクラに対し、女子大生がどの程度の好意を抱いたか、です。
結果は、好意が大きいものから、(D)ツンツンの後にデレデレ(ツンデレ)、(A)ずっとデレデレ、(B)ずっとツンツン、(C)デレデレの後にツンツン(デレツン)、でした。
つまり女子大生は、サクラに「最初から最後までずっと好き」という態度をとられるより、「最初は嫌いだったけど、最後に好きになっちゃった」というツンデレな態度をとられるほうが、良い印象を持ったということです。
ツンデレといえば、恋愛ドラマの王道です。「最初は嫌なヤツだと思ってたけど、話してみたらいいヤツじゃない」。このギャップで人は恋におちてしまうのです。
そう考えてみると、良くない第一印象を与えてしまったときほど、むしろそのあと好印象を与えたときの大逆転が期待できます。決して諦めてはいけません。
逆にいうと、第一印象が良すぎる人は注意が必要です。
長らく「いい人、やさしい人」で人気だった著名人も、たった1つのスキャンダルで失墜してしまう。アロンソンらの研究でも、「デレツン」は最低評価でした。
終わり良ければすべて良し。時代劇の「水戸黄門」のように、最初は見くびられていても、最後にバッチリ良いところを見せればいいのです。
第一印象は「1秒以内」に決まる
自分がどう思われているかを、人は気にせずには生きていけません。
社会的生活を営む上で、あるいは生物として生存競争を生き抜くために、他人から良く思われたり、「仲良くしたい」と思ってもらえる自分を見せていく必要があるからです。
しかし、相手はこちらが思っているようには見てくれないから問題なのです。
例えば、「自分は話下手だ」と思い悩んでいても、相手には「あの人は口が固くて誠実そうだ」と思われているかもしれません。
逆に「自分は話がうまい、コミュニケーションに長けている」と自負していても、相手には「ペラペラよくしゃべるけど、なんか信用できない」と警戒されていることもあります。
ここでは、初めて会った人との印象形成に絞って、第一印象の話をもう少し考えてみましょう。
プリンストン大学のウィリィスとトドロフの研究によると、魅力、好意、信頼、能力、積極性などの印象形成は、顔を見てから0.1秒で行われるとのことです(*3)。
0.1秒から0.5秒に増やすと、ネガティブな印象を抱き始め、0.5秒から1秒になると、ほとんど違いが出ないものの、判断への自信は増えるとのことです。
つまり、印象形成には1秒もかからないということです。
(*3)Willis, J., & Todorov, A. (2006) . First Impressions: Making Up Your Mind After a 100-Ms Exposure to a Face. Psychological Science, 17 (7) , 592–598.