「目線ロックオン」で相手の傍観者意識をなくす
無反応が嫌なら、誰か反応してくれそうな人をじっと見て発言するなどしてみてください。目線をロックオンされると、もはや傍観者ではない意識がその人の中で生まれるので、反応せざるをえなくなります。
また、参加者の中には、誰も反応していないので恥ずかしくて反応できない人もいるでしょうから、他の人が発言しているときに、あなたが自ら積極的に反応するようにしてみてください。誰か1人でも自分と同じ言動をしている人がいると、人間は安心して自分もできたりするものです。自ら積極的にリアクションをとっていれば、きっと同じように反応してくれる人が現れ、自分の発言のときにも同様に反応してくれるでしょう。
まずは「自分がしてほしいことを他人にする」。
これが人間社会をより快適に生き抜く大原則でもあります。
会議で反応が薄くても気に病まず、「傍観者効果」だから仕方ないと割り切る。あるいは自ら他者の発言に積極的に反応する。最終手段として、誰かをターゲットにロックオンして、その人を見つめて喋る。これらを実践してみてください。
「ゲインロス効果」で第一印象を挽回する
人づきあいにおいて第一印象がどれだけ重要かは、今さら言うまでもないでしょう。
しかし、相手に悪い印象を与えてしまったとしても、諦める必要はありません。
「話が盛り上がらない」「なんか気が合わなさそう」など、ネガティブなレッテルを貼られても、挽回するチャンスはあります。
ここでは「ゲインロス効果」を活用しましょう。
ゲインロス効果とは、人に対して抱くプラスの印象(ゲイン)と、マイナスの印象(ロス)をうまく使い分け、人を惹きつけるギャップを作り出すというものです。ミネソタ大学の心理学者アロンソンとリンダーが提唱しました(*2)。
研究の結果わかったのは、非好意的に接していた人が、その後好意的になるとき、つまり「ツンデレ」のとき、人はもっとも好印象を抱くということです。
アロンソンらは、女子大生80人に対し、「ある実験のために被験者Aさんを騙したいので、アシスタントをしてほしい」
と依頼しました。ところが実際は、被験者Aさんはサクラ(実験する側の人間)であり、実験対象は女子大生80人でした。流れは次のようなものです。
(2)会話の最中に、サクラが女子大生の印象(好意的・非好意的)を7回評価する。
(3)サクラが評価した内容に対し、女子大生がどういう印象を抱いたか調査する。
(*2)Aronson, E., & Linder, D. (1965) . Gain and Loss of Esteem as Determinants of Interpersonal Attractiveness. Journal of Experimental Social Psychology, 1, 156-171.