基地を貸せば日本も「標的」になる
日本が基地の提供に応じるうえで、この危険に誰が対処するかは大きな意味を持つ。米軍が日本の港への航路を守ろうとし、その拠点や周辺が攻撃された場合を考えたい。
現在は、日本防衛と基地利用が同じ条約の中に位置づけられている。外務省が公開する日米安全保障条約の第5条は、日本の施政下の領域でいずれか一方が武力攻撃を受けた場合、各国が自国の憲法上の規定と手続に従って共通の危険に対処すると定める。第6条は、日本の安全と極東の平和・安全に寄与するため、米軍による施設・区域の使用を認める。
日米同盟を解消したあとも、日本が米軍に基地を使わせるとしたら、最大の問題は、その基地が攻撃されたときに誰が守るのかということだ。米軍は自分たちの部隊や施設を守るだろう。しかし、基地の周辺で暮らす住民や、近隣の港湾施設まで守るとは限らない。
提言は、日本への戦闘支援を続けることや、基地の防御力を高める必要性には言及している。だが、具体的にどこまで米国が防衛責任を負うのか、攻撃を受けた場合にどんな支援を提供するのかは明確にしていない。
米国が日本を守る義務を縮小する一方で、日本には基地の提供を求める。それなら、基地が攻撃された場合の防衛責任や住民の安全について、具体的な約束が必要になる。そうした条件を詰めないままでは、日本は基地を貸すことで生じる危険を判断できない。
日本は基地使用を無条件に認めていない
現在の日米同盟でも、日本は米軍への支援を無条件に認めているわけではない。むしろ支援する内容を主体的に選んでいる。
米政府監査院(GAO)の2021年3月の報告書によれば、日本は日米の部隊と民間機が使う三沢基地の滑走路補修を支援した。一方、嘉手納基地の新格納庫への資金提供は地元の騒音への懸念から断ったという。
また、1960年の交換公文によれば、安保条約第5条に基づく場合を除き、日本からの戦闘作戦のための基地使用は事前協議の対象になる。
つまり、施設整備への資金提供と、米軍による基地の作戦使用は別の問題だが、日本はいずれについても一定の判断権を持っている。日米同盟を解消し、新たな取り決めを結ぶのであれば、日本を守るという米国の約束が縮小される分、基地の使用をどこまで認めるのか、その条件を改めて交渉する必要がある。
では、日本は基地の提供を条件に、米国からどこまで防衛支援を引き出せるのだろうか。
提言は、米国による安全の保証が弱まれば、米軍の受け入れを望まなくなる国が出る可能性を認めており、フィリピンや韓国を例に挙げている。その場合は、リースなどの一時的な取り決めや、同盟終了後の交渉・購入によって拠点を確保する道があるという。グアムなど第二列島線の拠点を、より重視する選択肢も示している。

