米国民の62%が基地維持を支持しているが…
それでも、日本が中国に従属すれば米国にも不利益がある。そこで、日本の能力向上を促しながら関与を段階的に減らし、紛争時の戦闘支援や武器・情報提供を残すとしている。
もちろん、こうした主張には米国内にも異論がある。同紙が取材したミッチェル航空宇宙研究所のJ・マイケル・ダーム研究員は、同盟の解消は東アジアの米国の安全保障体制を解体し、日韓の核武装を促しかねないと指摘。同盟を解消された国が、その後も米軍に基地を貸すのかと疑問を呈した。
米シカゴ国際問題評議会の2024年の調査では、在日米軍基地の長期維持に賛成する米国民は62%。一方、2026年7月調査で台湾侵攻時の米軍投入を支持した人は38%だった。
設問も調査年も異なるため単純比較はできないが、米国では同盟や基地の維持を支持することと、中国との直接戦争に米軍を投入することは別の判断になっている。今回の提言は、こうした米国の安全保障をめぐる意識の一つの方向性を、さらに徹底させた構想といえるだろう。
三沢と横須賀は「商業港を守る足場」
それなら、グアムなどの拠点に加えて日本の基地を使い続けようとする理由は何か。提言が想定するのは、日本や韓国の商業港へのアクセスを守る役割だ。潜水艦などによる封鎖に備えるには、港へ通じる海域で活動できる拠点が役立つ。
提言は、日本の北部や東部の基地を使い続ける方法として、交渉か、管理費の支払いを挙げる。具体的には三沢や横須賀などを示し、部隊を交代で展開させ、情報収集、補給、対潜水艦活動などを支える構想である。常駐部隊を減らしつつ、日本の施設を必要に応じて使える関係を目指すとしている。
日本側にも利点はある。武器や情報を得られ、商船の安全を支える米軍の協力も期待できる。常駐部隊が減れば、基地を抱える地域の負担が軽くなる可能性もある。米国には、日本などとの貿易を守る足場が残る。日本企業の輸出入に関わる任務なら、双方が協力する理由は重なる。
しかし、商船の通航を守る任務も、妨害する側との対立を伴い得る。米軍が基地から出動し、封鎖に対処する段階になれば、相手がその活動を止めるために基地を攻撃する可能性も考えなければならない。平時に施設を貸す利益に加えて、有事に使わせる危険が判断に入ってくる。

