日本の基地を貸さなくても米国は困らないのか
そもそも米国は、アジアでの軍事的な任務そのものを減らそうとしている。したがって、現在と同じ規模の基地網や防衛能力を日本周辺で維持する必要もなくなる。日本の基地が便利だからといって、日本が求める条件を米国がすべて受け入れるとは限らない。
ただし、日本の基地を使えなくなった場合、ほかの拠点から作戦海域へ向かう時間や、補給にかかる費用がどれだけ増えるのか。提言は代替策を挙げているものの、具体的な比較は示していない。
もし代替による費用や支障が小さければ、日本が基地の提供を交渉材料にしても、大きな譲歩は引き出しにくい。逆に、日本の基地を失うことが米軍の活動に大きな支障を及ぼすなら、米国にも日本の条件を受け入れる理由が生まれる。
つまり、日本がどこまで防衛支援を求められるかは、米国にとって日本の基地がどれほど必要なのかにも左右されるのである。
2035年までに日本は米軍の穴を埋められるのか
提言は、日本の防衛上の自立を促す目安として2035年を挙げている。しかし、日本がそれまでに米軍の任務を引き継げるとは限らない。これには準備期間がいる。
米軍が担ってきた役割を引き継ぐには、装備の購入だけでは足りない。情報収集や指揮、補給、整備を担う人員を育て、弾薬や燃料を補充しながら任務を続けられる体制を整える必要がある。核の傘が終了するなら、核兵器による威嚇への備えも検討しなければならない。
ところが、カバナ氏は、同盟国の反応に左右されず、予告した撤収日程を守るべきだとしている。米国にとっては負担と戦争に巻き込まれる危険を減らすための撤収でも、これでは日本には防衛能力が整わないまま米軍が去る危険が残る。
重要なのは、撤収時期を日本の準備状況と結びつけることだ。装備の納入だけでなく、人員の訓練や継続的な任務遂行能力を確認し、準備が遅れた場合に米軍の削減を延期するのかも協議しなければならない。
2035年はあくまで提言が示した目安であって、日本の準備完了を保証する期限ではない。米国が減らす防衛上の責任を、日本がいつ、どこまで引き受けられるのか。この問題を解決しないまま、同盟の解消を進めることはできない。

