日本と韓国の相互防衛同盟も「核の傘」も終了

この提言は、何をやめて何を残そうと論じているのか。ディフェンス・プライオリティーズ上級研究員で軍事分析部長のジェニファー・カバナ氏による「アジアのための第二列島線戦略」は、台湾への軍事不介入を明確にし、日本、韓国などとの相互防衛同盟を限定的な協力関係に置き換えるよう求める。米国の核戦力で同盟国を守る「核の傘」の終了も含む。

核ミサイルとアメリカ国旗
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米軍の配置の中心も、日本の南西諸島から台湾、フィリピン方面へ連なる第一列島線から、より東側のグアムなどを含む第二列島線へ移す。地上部隊の多くを米本土へ戻し、海空軍も縮小する一方、日本との武器・情報協力や一部の基地利用は残すとしている。

米政府が2026年1月に公表した「国家防衛戦略」は、第一列島線に沿って相手の攻撃を成功させにくくする防衛態勢を掲げている。今回の案は、その方針とは異なる選択を提示している。

米国の負担軽減という同じ言葉でも、同盟内で日本の役割を増やす場合と、防衛の約束自体を縮める場合では、日本の備えは大きく変わる。前者なら共同防衛の分担を詰める。後者では、米側が引き受けてきた任務を日本が単独で新たに担うことになる。備えの大幅な拡充は避けられない。

いわゆる日米同盟解消論は、なぜ米国には合理的に見えるのか。

米国が守りたいのは「本土」と「貿易路」

執筆者のカバナ氏が主張する軍事力で守るべき利益は、米本土の安全と、アジアの市場や貿易路へのアクセスである。

この立場からすれば、台湾や周辺の領土問題への関与を広げるほど、米国が中国と戦う危険は増える。中国に近い基地への部隊集中は、米兵を攻撃にさらし、救援や反撃を通じて戦争を拡大させるおそれもある。防衛の約束と前方の部隊を減らせば、米国が背負う危険を小さくできると考える。

一方、アジアとの貿易は守りたい。そこで、輸送路が妨害された場合に備え、一定の海空軍を残す。提言は、中国自身も貿易に依存しており、通商を妨げれば中国側にも損失が生じるとみる。こうした妨害の可能性を低く見積もりつつ、起きた場合の損失に備えるために限られた戦力を置く、という理屈だ。

日本への見方も、この発想につながっている。中国沿岸から比較的離れ、海に囲まれた日本本土は、防衛力を十分に整えれば侵攻を防ぎやすいとみる。米国への依存を減らし、日本の自助努力を促す余地があると考えるのだ。ただし、提言は防衛が難しい沖縄や離島と、日本本土を区別している。