NEWS手越祐也は11カ月でデビューした事実

そして、Sexy Zoneから生まれたtimeleszこそが、この試みを行うには最適なグループだったと考えている。

タイプロに対する批判で今も止まないものに「事務所の伝統を壊された」というものがある。ジュニアを経由せず、短期間でデビューさせてしまうことを“伝統を壊す”とする批判の形だ。ただ、この“伝統”も10年スパンで見るか、もう少し長いスパンで見るかで、話が変わってくる。

この10年ほど、この事務所(ジャニーズ事務所時代も含む)からは、Snow ManやSixTONES、Travis Japanなど、ジュニア期間の長いメンバーを中心としたグループがデビューするのが通例となっていた。グループ自体もジュニアの頃から結成されており、ファンの間でも「次はどのグループなのか?」という予想合戦が起こるような状態が続いてきた。この形が定着すると、ジュニア期間の短いメンバーがいきなりデビューするということは見られなくなる。

しかし、もう少し遡るとそのようなことは実は珍しくなかった。

V6の岡田准一は、95年にテレビ番組のオーディション企画に出演したあと、すぐにデビューしている。2003年にデビューしたNEWSの手越祐也も、ジュニア期間約11カ月でのデビューだ。

「一般人→アイドル」はジャニーズの本流だった

そうなると、少し前まで普通の生活をしていた10代の男子がいきなりデビューすることになるわけで、当初はもちろんスキルなどの面で経験者には劣ることになる。今の価値観を当てはめようとすると、それで成立するのか心配になるかもしれない。
だが、嵐の二宮和也が自分たちのデビューした頃に触れて「何もできない少年たちがデビューするっていうのがけっこう定番だったんですよ。(中略)まだウブっぽい子たちがどんどん垢抜けていくっていうストーリーを女の子たちが応援する」と語っていたように、普通の少年たちがアイドルになっていく成長をファンが応援し、見守るのが、ひとつの文化だったのである。

timeleszに事務所の外から入ったメンバー3名は“一般人”とたびたび揶揄されてきた。よく「ジュニアを差し置いてなんであんな一般人がデビューするんだ」といった形で使われるので、経験を積んだジュニアとの差異を強調するためのものだろう。だが、そもそもは一般人が一流のアイドルになっていく姿を楽しむのが“ジャニーズ”だったのだ。

もちろん、下積みの時代に磨かれ、そのスキルや経験値が放つ魅力もある。だが一方で、いきなりスポットを当てられることによって放つ魅力もある。堂本光一が自身のミュージカル『SHOCK』に、佐藤勝利や多くの若手ジュニアを抜擢した際に「僕たちが見せたいのは“うまさ”ではなくて、思い切ってやって爆発させるエネルギー。それは僕がジャニーさんから植え付けられた大事な部分なので、そのイズムをちゃんと伝えていくことが1番の使命だと思っています」と語っているように、いきなり抜擢することで生まれるエネルギーを見せることは、実はもともとジャニーズの文化なのだ。