審査ごとの順位付けは「ジュニアの再現」のよう
最初に筆者のスタンスを明示しておくと、ジャニーズJr.という制度に肯定的で、親しみも持っている。2019年に発売した著書『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)では、その中で競争が発生し、切磋琢磨する環境を、努力を促すための仕組みとして称賛しており、その考えは現在も変わっていない。
タイプロの開催が発表されたときも、最初は懐疑的で、ジュニアを経ずにデビューするタレントが生まれるというのを見たことがないため、どうなるのか予想できず、大きな不安も抱いていた。
しかし、タイプロを見てその不安は払拭された。そのオーディションの様子に、それを開催し、審査にあたった菊池風磨・佐藤勝利・松島聡の3名の並々ならぬ想いの強さを感じたからだ。もっと言えば、彼らはオーディションを“ジュニア期間の代替”にしようとしているように感じたのである。
タイプロはジュニア期間の代替であるとはどういうことなのか。中身を紹介しながら見ていきたい。
まず、書類審査・面接審査を通過した候補生が一堂に会する機会となった3次審査では、『Can do! Can go!』を踊ることに。もともとV6の楽曲だが、歴代のジュニアたちが踊り継いできた楽曲だ。さらにそこでは、いきなりメンバーに順位づけがなされ、その順位によって立ち位置が決められた。候補生にとっては厳しい洗礼にも思えるが、自分の立ち位置によって、現在の集団の中での位置がわかるというのはジュニアの仕組みそのものである。そしてその“順位”は、最終選考まで、選考ごとに発表され続けた。
「デビューが確約されない」ジュニアの厳しさ
“自分の位置”を知ることで努力が促される――。集団の中で上位の者は他の者に抜かされないように、そして下位の者は上位の者を抜かして少しでもよい立ち位置になれるように、努力をし、自らのパフォーマンスを高めていく。これは、ジュニアという仕組みが持っている本質のひとつである。
さらに、他の芸能事務所と比べても特殊なジャニーズJr.の特性に“不安がつきまとう”というものがある。
そもそも、ジュニアになったからといってデビューが確約されているわけではない。むしろ、デビューできるのはひと握り。それも数百人の中から、2~3年に一度、新たなグループがデビューするといったレベルだ。他のアイドルにときどきあるように、研修生にさえなれればいつかデビューできるといった仕組みにはなっていないのだ。
今は改善されたようだが、以前のジャニーズJr.には契約書もなかった時期があり、明確なジュニア入りの瞬間というものは本人たちにもわかりづらい部分もあった。ジュニア期間を経てデビューまでしたタレントが「一度も合格とは言われてない」と笑って話すようなことも多い。
SUPER EIGHTの丸山隆平のように、一度ジュニアのオーディションを受けて雑誌に登場できたものの、半年ほど連絡がなかったので、再度履歴書を出してオーディションに参加し、その2回目のオーディションの場で「もう、うかってるよ」と告げられたというような例もある。
