たった1通のメールからサイトを改修

たとえば「Cook Do」のCMで、俳優が豪快に「ホイコー!」「コメ!」と言いながら食べるシーンがあります。これに対して「あれは『コメ』ではなく『ご飯』と言うべきだ」という声が届きました。

この場合はまず、「日本語としては、『ご飯』が一般的であるというご指摘は、そのとおりです」と回答します。続けて「一方で、CMの表現では印象に残る演出として、あえて『コメ』という表現を用いています」と説明し、理解を求めました。「ブランドとしての意図を丁寧に伝える」こともまた、大切な役割です。

さらに、「架け橋」だからこそ、たった1通のメールが企業を動かすこともあります。ある、視覚に障がいのある顧客から、次のようなメールが届きました。

「パッケージに記載されている作り方の情報は、読めない。視覚障がい者でも利用できるよう、WEBで読み上げられる仕組みを整えてほしい」

味の素では、1人の声を「氷山の一角」と考えます。同じ課題を抱えている人が、他にもいるかもしれないからです。この結果、商品や使用方法を掲載しているお客様相談センターのホームページは「スクリーンリーダー」(文字情報を音声で読み上げる仕組み)に対応するよう改修されました。

顧客の声をきっかけに、企業からのメッセージ伝達の仕組みを進化させた例です。

クレームは信頼の裏返し

③ 顧客との価値共創

クレームの数が減っているとはいっても、ゼロになるわけではありません。味の素では過去に、市場から製品を回収しなければならない重大な指摘が寄せられたこともあります。

製品回収は時間との勝負です。だからこそ、お客様相談センターという「顧客から直接声が届く仕組み」を持っていること自体が、大きな強みでもあります。

そもそも、クレームとは決して敵意の表明ではありません。「期待しているからこそ、改善してほしい」という、信頼の裏返しでもあります。

顧客の声をきっかけに改良された商品は、数多くあります。たとえば、うま味調味料「味の素」の「アジパンダ瓶」では、「キャップのちょうつがい部分が割れやすい」という指摘を受け、素材を見直し、強度を高めました。

また、「Cook Do」の麻婆茄子用では、「辛くて食べられませんでした。裏面を見て初めて『辛味レベル3』であることに気が付いたので、表面に辛さ表示をして欲しいです」という声を受け、パッケージの表面に5段階での辛さの程度を表す表と「中辛」などの文字を記して、辛さの目安を記載しました。