「肩が得意」な医師を探して

他の整形外科医から五十肩だと言われたのに、私が診るとけんばん断裂だった、というケースは数えきれません。言うまでもありませんが、診断を誤るということは、適切な治療ができないということです。

なぜ、そのようなことが起きるかというと、けんばん断裂の診断自体が難しいことに加えて、日本の整形外科医は腰や股関節、背骨を専門にしている人が多く、肩については詳しくないからです。

肩について正しく診断をするには、経験値が大きくものをいいます。同じMRI画像を見ても、けんばん断裂を見抜ける医師と、見抜けない医師がいるのは、経験値の違いです。

クリニックで「腱板が切れています」と言われた方の肩を私が診ると、実は「切れていなかった」ということが、実際に毎週のように起こっています。逆に「切れていない」と言われた方を私が診ると「切れていた」というケースもよくあります。同じ画像を見ても、違いが出るのです。

ですから、正しく診断してもらいたいと思ったら、肩を得意としている整形外科医かどうかを調べてください。

肩書きや資格では見分けられない

「専門医」という言葉をご存じですか? 専門医とは、日本専門医機構などの認定団体から、特定の医療領域で「標準的で高度な知識・経験を持つ」と認定された医師の資格です。医師が勝手に名乗れるわけではありません。

困ったことに、「整形外科専門医」という資格はあるのですが、「肩専門医」という資格はありません。ですから、その医師の肩書きや資格を見ても、肩を得意としているかどうかを判断することはできません。

私からすると、整形外科医で肩を得意としている医師は1割もいません。先述したように、肩を得意としていない医師がけんばん断裂を正しく診断するのはほぼ無理です。

歌島大輔『肩のけんばん断裂 自力でできるリセット法』(アスコム)
歌島大輔『肩のけんばん断裂 自力でできるリセット法』(アスコム)

特に、知識のアップデートを怠っている整形外科医には難しいと思います。

理由のひとつは、けんばん断裂に手術を施すのはあまりよくないといわれていた時代があったからです。そのために手術を多く経験しておらず、肩の中を実際に見る機会が少なかったわけです。

しかも、今は「関節鏡」という内視鏡を使った手術が主流ですが、昔は肩の関節鏡がありませんでした。肉眼で見える大きな断裂だけが対象とされ、小さい断裂は無視されていたのです。そういう手術の経験しかない医師が、小さなけんばん断裂まで正確に診断するのは難しいのです。