思考の「型」を覚えて精度を上げる
一方、「発言内容の精度」はどうか。
思考の瞬発力には才能による面もあるが、地道なトレーニングで、かなりのところまで鍛えられる。私自身、どちらかといえば凡才寄りだが、地道な訓練を積むことで、瞬発力の高い人間であるように見せている。
地頭は、作れるのだ。
その方法の一つが、「型」を覚えることである。
ビジネスの世界で使われるフレームワークは、一通り覚えておこう。
といっても、複雑なものを丸暗記する必要はない。
次のアンゾフのマトリクスや4P分析、ファイブフォース分析、3C分析あたりの基礎的なものを押さえておくと、説得力のある資料を作ったり、図にして説明したりするときに役立つ(図表2)。
あとは、ロジカルシンキングやピラミッドストラクチャーは、息をするように使えるレベルにしておきたい。所詮はただの因数分解なので、これも日常的にやっていれば、簡単に身につく。
“出来上がったもの”から逆算する
さて、基礎的な型を覚えたら、次のステップに進もう。
世の中の資料や書籍を読むときに、「これはどういうフレームワークで作られているか」を考えてみるのだ。
例えば、どこかの企業を分析した記事や、企業が発表する経営計画を読むとする。そのとき、「3C(自社・競合・顧客)の要素が、すべて盛り込まれているか?」という観点でチェックしてみる。すると、解像度が格段に上がる。
もし、触れられていない要素があれば、そこからさらに深掘りできる。
「これは単なる書き手の手落ちなのか? それとも、あまり大っぴらには言及したくない、何か事情のある要素なのか?」といった具合だ。
型という「物差し」を持つことで、ただ漫然と読んでいたときには見えなかったものが、見えてくるのである。
このように、できあがったアウトプットが「どんな型で作られているか」を逆算して考えることを、「思考のリバースエンジニアリング」と呼ぶ。型を覚えるためのトレーニングとして、これが最適なのだ。
ただ型を暗記するだけでは身につかない。覚えた型を使って、実際のアウトプットを読み解いてみる。この「知識(型の暗記)」と「思考(型を使った読み解き)」をセットにして、初めて型は自分のものになる。
孔子も「學びて思わざれば則ち罔し(学んでも自分の頭で考えなければ、身につかない)」と言っている。
型を覚えると毎回ゼロから考えずに済むので、思考をショートカットでき、反応速度が上がる。車輪の再発明にも学びはあるが、時間がかかるので、端折れるところは端折っていこう。

