弱音は恥、「さびしい」と言い出せない
初めてのカウンセリング。Aさんが最近感じているモヤモヤについて話しているとき、思わずこぼした言葉が「さびしい」でした。
「昇進が止まって、現場を離れ、残業は減り、家にいる時間は増えたんです。でも、妻は『あなたは家にいても何もしない』と冷たいし、息子は当然のように週末も家にいない。部下は優秀で成果を出しているし、誰も自分を必要としてくれない。そんな感覚があって、さびしいんです」
そういった後、Aさんは「あっ」と驚いたような表情を浮かべていました。じつは、「さびしい」は男性が口にしたがらない言葉です。
昭和生まれのミドルエイジの男性は、弱音を吐くことを恥だと思い、さびしさを認めたがらない傾向があります。でも、さびしさ自体は感じている。だから、その感情を別の形で表現してしまうのです。
妻に当たる。部下に厳しくなる。あるいは、過去の栄光を語り続ける。その根底にあるのは、「認められたい」「必要とされたい」「愛されたい」というシンプルな欲求なのです。
職場で煙たがられる行動4例
承認欲求自体は、けっして悪いものではありません。むしろ、「認められたい」という気持ちがあるからこそ、人は頑張ることができます。意欲がなくなってしまうよりは承認欲求がある方がいい。欲があるうちが花、ともいえます。
でも、その欲求が満たされないと周囲の人へ感情をぶつけることになってしまい、結果として周囲から煙たがられる存在になってしまうのです。
あなたの職場にも、こんな人がいませんか?
・若手が評価されると、「いや、あれはオレがサポートしたからだよ」と自分の手柄にしようとする
・会議で自分の過去の成功体験を語り始める
・部下の報告に対して、「でも、オレが思うに」と否定から入ってしまう
・ちょっとしたことでも「ありがとう」「すごいですね」といってもらえないと、機嫌が悪くなる
こうした行動は承認欲求が満たされないさびしさの表れですが、繰り返すほど、周囲はその人から距離を置くようになります。若手は「またあの話か……」とうんざりし、上司は「扱いにくいな」と感じ、同僚は「面倒くさい」と避けるようになる。
結果、その人自身を受け止めてくれる人が減り、承認欲求が満たされず、さらに承認を求める行動がエスカレート……という悪循環に陥ってしまうのです。