10人中8人の大人が迎える「第二の思春期」
男女とも更年期に差しかかるこの時期は、体力や集中力の衰えを如実に感じ始めるころ。健康面に不安を感じたり、同期との昇進の差から自分の能力について考えたり、職場での役割が変わったりして、自分の居場所が定まらない感覚になることもあるでしょう。
ミドルエイジにある多くの人が、自分の人生やキャリア、家族関係、健康状態などに対して揺らぎを感じ、それが自己評価の低下や将来への不安、過去の選択への後悔などにつながっていくのです。
アメリカの心理学者ダニエル・レビンソンの研究によれば、40代から50代にかけて、男女とも約8割の人がこのような心理的な危機に直面するといわれています※。
(※「The Seasons of a Man's Life: The Groundbreaking 10-Year Study That Was the Basis for Passages!」(1978),「The Seasons of a Woman's Life」(1996) by Daniel J. Levinson)
じつに、10人中8人。するすると何事もなくミドルエイジを通過することができる人の方が圧倒的に少数派です。大部分の人がつまずき、悩み、どうしたものか? と眠れぬ夜を経験していきます。
いわば、中年の危機は「大人が迎える第二の思春期」。
10代のあのころ、この先どう生きていったらいいか? 進路に、恋愛に、自分のあり方に、私もあなたも、クラスの一人ひとりが心の揺らぎを経験したように、ミドルエイジにも多くの人が迷い、戸惑うのです。これは病気ではなく通過点。安心してください。あなただけがもがいているのではありません。
要因①人生の折り返し、振り返る時間が増える
では、なぜこの時期は心が揺らいでしまいがちなのでしょうか。中年の危機を引き起こす要因として、主に次の5つが考えられます。
【[要因①]人生の折り返し地点で、これまでを振り返る時間が多くなる】
40代、50代は、人生の折り返し地点です。前述した働き手や保護者としての役割、健康状態の変化などから、「これまでの人生、これでよかったのか」「本当にやりたいことができていたかな」と振り返る時間が多くなります。
そして、ここからが人の心のやっかいなところで、振り返れば振り返るほど、ネガティブな部分を意識してしまうのです。これはネガティブバイアスと呼ばれる心理的な傾向で、私たちにはポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶に残しやすい性質があるのです。
結果、まわりからは充実した人生を送っているように見える人でも、「あのとき、ああしていれば」という後悔や「このままでいいのか」という焦りを感じています。