辞めない方法を手を尽くして考える

誰にも訴えることなく、ただ「理解が足りない」「環境が悪い」と悶々としていてもストレスがたまるばかりです。

今は、「環境は作るもの」でもあります。

あまり知られていないのですが、さまざまな社員のニーズに配慮して、今厚生労働省は「特別な休暇制度」の企業への導入を推奨しています。

特別な休暇制度(特に配慮を必要とする労働者に対する休暇制度)とは、休暇の目的や取得形態を労使による話し合いにおいて任意で設定できる法定外休暇を指します。

年次有給休暇、生理休暇、育児休業、介護休業などの法定で決められた範囲以外に、社員に配慮して会社が独自の就業規則で決める「法定外休暇」です。この中に「不妊治療」も対象となれば、休暇がとれます。制度導入によるメリットやセミナー(全国で開催)についての詳細はぜひ下記のサイトを参照してください。
http://www.kyuukaseido.jp/purpose/

また不妊治療による休暇に関しては「1年などの長期の単位」を望む人もいれば、「1日1時間程度の外出(通院のための)」など細かくとれる休暇が良いという人もいます。不妊治療に関して休暇制度を作ろうとする企業も多いので、その場合はぜひさまざまなニーズを細かく拾ってほしいと思います。

今子どもを持ちたいという人に対しては追い風が吹いています。まず会社を辞めるという選択の前に、辞めないという選択肢を手を尽くして考えてみましょう。大切なのは「ストレスをためないこと」と「長いスパンで考えること」です。

白河桃子
少子化ジャーナリスト、作家、昭和女子大女性文化研究所客員研究員、大学講師
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)。