体は軽くなったのに疲れやすいワケ
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、総エネルギーの50〜65%を炭水化物からとることが推奨されています。これは、一日のエネルギー量を2000kcalとした場合、約250〜325gの炭水化物に相当します。
ご飯茶碗1杯(約150g)の炭水化物は約55gですから、一日3食白飯を食べたとしても、まったく推奨量には届かないのです。「ご飯を食べたら太る」という思い込みは、科学的根拠に基づいていません。
私の周りにも、糖質制限を実行し、数カ月で10キロほど痩せた人がいました。しかし半年後に再会すると、「最近、頭が回らなくて仕事がつらい」「以前より疲れやすい」と打ち明けてくれました。
体は軽くなったのに、気持ちが重くなってしまった――。
その人は「もう少し自由に食べてもいいのかもしれない」と気づいたその日から、少しずつご飯を戻し、笑顔を取り戻していきました。
食べることは、生きることそのものです。糖質制限を「敵を断つ戦い」ではなく、「自分を整える習慣」に変えること。それが本当の意味での健康への近道です。
体重計の数字だけでなく、自分の心の軽さにも耳を傾けてみてください。ご飯の湯気やパンの香りが、きっとあなたの体と心に元気を戻してくれるはずです。
油の摂取がもたらす脳の健康
「揚げ物は太る」「バターは体に悪い」「油はできるだけ抜いたほうがいい」――。
健康を意識する人ほど、こんな言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。近年の「脂質悪者説」は、健康志向ブームとともに広がりました。
しかし、油は本当に体に悪いのでしょうか。
脂質は、人間の生命を支える重要な栄養素の一つです。細胞膜の材料になり、ホルモンを作るために欠かせず、脳の約6割は脂質でできています。そのため、油を過度に断つことは、脳の健康を損なうことにつながります。
また、脂質が不足すると、肌の乾燥やホルモンバランスの乱れ、集中力の低下など、心身のさまざまな不調が起こりやすくなります。
特に若い女性の中には、「油は太る」と言って極端に控える人がいますが、それが肌荒れや生理不順、慢性的な疲労感につながることも少なくありません。
さらに、油は体にとってとても効率の良いエネルギー源です。三大栄養素のエネルギーを比べてみましょう。
・炭水化物:1gあたり約4kcal
・タンパク質:1gあたり約4kcal
・脂質:1gあたり約9kcal
脂質は、炭水化物やタンパク質の倍以上のエネルギーがあります。つまり、少量の油でも、体を動かす力として十分なのです。成長期や活動量の多い人にとっては、特に欠かせません。