健康寿命のために食生活で何を気をつけるべきか。『食べたいものを、食べていい 「毎日牛丼」生活も肯定する科学』(光文社)を出した実践女子大学教授の守田和弘さんは「メニューの多様性よりも、本能に基づく安定した習慣と、最低限の栄養の確保が健康のカギとなる」という――。
カゴに入った野菜を見せる農家
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90歳を元気に超えた「毎食同じ」祖父母

私の祖父母は、食卓に毎食のように「魚の干物」を並べていました。

しかも、それはまるで塩そのものをめているかのように非常にしょっぱいものでした。

栄養学的に見ると、塩分過多は高血圧や腎臓病のリスクを高めるはずです。さらに、献立はいつもほとんど同じ。朝も昼も夜も、ベースはご飯と干物、味噌汁、漬物。たまにお刺身や煮物、果物が加わる程度。

食品の研究に携わるようになり、栄養学の知識を多く学んだ私は、「こんな食生活で大丈夫なのだろうか」と、実家の祖父母の健康を内心とても心配していました。

しかし、二人とも90歳を超えても大きな病気ひとつせず、老衰で亡くなるまでは毎日元気に畑に出ていました。血圧も正常、腎臓も元気。認知機能の低下もなく、目も耳もすっきり良好でした。お医者さんからも「この年齢でこの健康状態は珍しい」と言われるほどでした。

この経験から学んだのは、「教科書的な『正しさ』だけでは、人間の健康は語れない」ということです。食事の内容だけでなく、習慣や心理的な安心感、生活全体のリズムが健康に大きく影響するのだと実感したものでした。

「昼は毎日ラーメン」でも健康なワケ

「健康のためには、毎日いろいろなものを食べなければならない」――そう言われることが多いですよね。

その一方で、テレビなどでは「週5で吉野家」「昼は毎日ラーメン」「毎日CoCo壱番屋のカレー」と豪語する食通の方を見かけることがあります。なかには「食べたインスタント麺の種類は何千種類」「365日レトルト食品生活」など、驚くようなエピソードも。

そんな話を聞くと、「自分も毎日同じような食事ばかりしていて大丈夫なのかな」「好きなものばっかり食べて、将来、栄養が偏って病気になったりしないかな」と不安になる方も多いでしょう。

でも、心配しすぎる必要はありません。

きちんと必要な栄養がとれていれば、毎日同じ食事でも健康に暮らしていくことは十分に可能です。

確かに理想をいえば多様な食材をとることが望ましいのですが、実際のところ、同じ食事でも栄養バランスがとれていれば大きな問題はありません。