外国人スタッフに支えられている
コロナ禍が落ち着いてからも、課題は山のようにあった。ホテル・旅館業界はそれまでも、長時間労働や低賃金のために慢性的な人手不足に悩んでいたが、コロナ禍でさらに多くの人が仕事を離れていった。人材不足は深刻化した。政府は宿泊分野での特定技能外国人の受け入れを決め、業界も積極的に外国人雇用を進めていった。
「西の雅 常盤」のスタッフも、今や半数以上が外国人だという。そして日本人スタッフの多くは70代から80代だ。外国人スタッフの多くは、ベトナムやネパールから来ている。1人で働きに来た人も、落ち着くとパートナーや家族を呼び寄せて一緒に働くようになる。
「外国人スタッフは、本当にみんなよく頑張ってくれますね。仕事に集中できるよう、家や家財道具、エアコンや自転車など、生活に必要なものはこちらで揃えています。そのおかげでしょうか、やめる人はほとんどいません」
「女将あっての常盤」
コロナ禍の後、宿泊客も少しずつ変化している。
「以前は個人や家族旅行が中心でしたが、最近は旅行会社が企画するバスツアーが増えています。関東や東海、関西方面からも多く来られますね。年配のお客さまも多いので、食事は、幅広い世代の方に喜んでいただけるよう工夫しています」
取材した日も、400人規模のバスツアー客を迎えるため、スタッフが忙しそうに動いていた。通常の宴会場に400人は入りきらないため、ロビーで女将劇場を開催する準備が着々と進んでいる。
40年近く勤めている従業員は、「女将劇場あっての常盤」と言った。
「女将劇場があるからお客さまが来てくださいます。それでも、危険だったり動きが激しかったりする芸は、少しずつ減らしているんですよ。たとえば以前は、ボウリングのボールを使う芸がありました。でも、もし女将に当たったら危ないのでやめました。よさこいのように動きが激しいものも、今はやっていません。見ていて飽きない、おもしろい芸でしたけどね。女将の体が大事ですから」