8時間労働は非効率
スウェーデンでも同じような取り組みが見られます。この国の一部の企業は、従業員に6時間勤務で8時間分の給与を支払っています。このアプローチは、それを導入できる余裕のある企業にとっては良い結果をもたらしています。病欠が激減し、従業員の幸福度が高まり、生産性が飛躍的に向上したのです。
スペイン、ベルギー、ポルトガル、イタリアといった国々でも、こうした「つながらない権利」に関する法律が導入されています。残念ながら、筆者の母国であるオランダでは、いくつかの取り組みは見られるものの、まだこれに追随していません。こうした法律があれば、人々は「会社から常に連絡が取れるようにしなければならない」というプレッシャーから解放されるのに、実に惜しいことです。
「当初は、1週間当たりの労働時間を減らせば、従業員を増やさなければならないと思っていました。しかし、効率性が上がったので、既存の従業員だけで問題なく仕事が回っています」と、検索エンジン最適化(SEO)サービスを提供する企業の経営者であるマリア・ブラスは述べています。同社は週30時間労働制度を導入して以来、3年連続で収益が倍増しています。
ますます多くの科学的研究が、8時間労働は非効率であることを示しています。たしかに、身体を使うことが多い仕事をしているときは、1日に8時間働けば、それに応じて生産性を上げられるでしょう。しかし、頭を使った仕事をしているときは、時間を増やせば生産性も上がるというわけではありません。本当に集中できるのも、1日に4時間あれば上出来だと考えるべきです。
睡眠不足がもたらす悪影響
睡眠は究極の休憩であり、脳が適切に機能するために不可欠です。起床後、何時間も覚醒状態が続くと、脳を回復させなければなりません。
日中に活動していた脳の領域は、レム睡眠中に再び活性化します。このとき、脳はその日の出来事を追体験しているといえます。これによって、重要な情報を結びつけ、不要な情報を取り除いているのです。睡眠時間が短いとこのプロセスが妨げられ、認知能力が低下します。
睡眠不足だとIQが約10ポイントも低下します。また、動作が鈍くなり、注意力が落ち、ミスをしやすくなります。重要なのは、このようなデメリットは、一晩中ほとんど眠れなかったような場合ではなくても起こるということです。数時間の睡眠不足や、熟睡ができなかっただけでも、脳にはかなりの悪影響が生じるのです。睡眠不足による生産性の低下は、社会全体で1人当たり年間平均1967ドル(約31万円※2026年4月1日時点)の損失をもたらすことがわかっています。