午後7時以降はメールの送受信を停止している会社も
しかし、時代は変わりつつあります。常に仕事に追われていることに、うんざりする人が増えているのです。私たちはもう、家族や大切な人と一緒に時間を過ごせないことへの罪悪感や、慢性的な疲労、ストレス、寝付きの悪さなどに、嫌気が差しています。
とはいえ、「帰宅後に仕事のメールをチェックするのはやめましょう」と言うのは簡単ではありません。メールチェックには、中毒性があるからです。もしかしたら、夜に重要なメールが届いているかもしれません。そう考えると、つい不安になってメールをチェックしてしまうのです。こうした問題に対処するため、ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンやBMWでは、午後7時以降はメールの送受信を停止するように自社のコンピューターサーバーを設定しています。メールが送信されなければ、チェックするものもありません。こちらからメールを送ることはできますが、サーバーには翌朝まで届きません。従業員は、重要なメールを見逃していないかと不安になることなく、安心して自宅で静かに夜を過ごせます。
定時で仕事を終えるデンマーク人
フランスはさらに一歩踏み込みました。管理職が休日に従業員に連絡することを禁じる法律を制定したのです。勤務時間外に従業員に質問すると、法律によって罰せられる場合さえあります。
デンマークでは、定時で仕事を終えることが文化として定着しています。同国では、残業はもはや過去のものです。ほとんどの企業では、新人からベテランまで全従業員が午前9時に出社し、午後5時に退社します。残業をすると、働き方の効率が悪いと見なされ、周りから眉をひそめられます。こうした文化は確実に良い結果につながっています。デンマークは世界で最も幸福な国であり、EUでも屈指の生産性の高さを誇ります。夫の転職を機にデンマークに移住したイギリス人作家のヘレン・ラッセルは、こう書いています。
「最初、この国の人たちは怠け者なのかと思った。だが違った。彼らは、集中して働いているだけなのだ。
彼らは勤務中に30分ごとにフェイスブックをチェックしたりはしない。仕事と休憩は明確に区切られている。これは良いことだ。おかげで人々は心の平穏を保ちながら仕事ができ、燃え尽き症候群のリスクも軽減できる」