なぜリスキリングが進まないのか?
今、多くの企業が「リスキリング(Reskilling:新しいスキルの習得)」に取り組んでいます。変化の激しい時代において、既存のスキルだけでは通用しなくなるという危機感があるからです。
世界経済フォーラム(WEF)の『The Future of Jobs Report 2023』によれば、今後5年間(2023-2027年)に、労働者のスキルの44%が“変容(disrupted)”すると雇用主は見込んでいます(*)。
*World Economic Forum, “The Future of Jobs Report”
しかし、多くの企業では、リスキリングが思うように進んでいません。「とにかく何か学ばなければ」と焦り、会社が提供するeラーニングのプログラムを片っ端から受講したところで、それが自身のキャリアや会社の戦略と結びついていなければ、学習のモチベーションは長続きしません。
リスキリングが進まない根本的な原因は、「何を学ぶべきかが明確になっていない」ことにあります。
スキルベース組織は、この問題に対する明確な解を提供します。まず、会社が将来の戦略を実現するために、どのようなスキルがどれだけ必要になるのか(未来のスキル需要)を定義します。そして、社員一人ひとりの現在の保有スキル(現在のスキル供給)を可視化します。
この両者を比較することで、個人レベル、そして組織レベルでの「スキルギャップ」が明らかになります。このギャップこそが、今、優先的に学ぶべきテーマです。
目指すべきゴールと、そこに至るために必要なスキルが明確になれば、社員は迷うことなく、意欲的に学習に取り組むことができます。
「やらされ感」から「キャリア自律」へ
会社が社員のキャリアを一方的に決める時代は終わりました。いまや、社員一人ひとりが自らのキャリアに責任を持ち、主体的に能力を開発していく「キャリア自律」が求められています。
しかし、「キャリアを自律的に考えなさい」と言われても、多くの社員は戸惑います。「自分にはどんな強みがあるのか」「会社は自分に何を期待しているのか」がわからなければ、方向性を定めることは難しいからです。
スキルベース組織のアプローチは、このキャリア自律を強力に支援します。
自分の保有スキルが可視化されることで、社員は自身の市場価値や強み・弱みを客観的に認識できます。また、社内で求められているスキルや、様々な役割(ポジション)に必要な要件が明確になることで、「次はあの仕事に挑戦してみたい」「そのためには、このスキルを身につけよう」といった具体的な目標設定が可能になります。
会社が用意したレールの上を歩くのではなく、自らの足で道を切り拓いていく。スキルベース組織は、社員の「やらされ感」を払拭し、一人ひとりが主役となってキャリアを築いていくための環境を提供するのです。

