スキルは「ブロック」のように組み合わせ可能

スキルベース組織は、この硬直性を打破し、変化に強い柔軟な組織を作るための鍵となります。その核心は、組織運営の最小単位を「職務」から「スキル」へとシフトすることにあります。

これを理解するために、「玩具ブロック」を想像してみてください(図表1参照)。

【図表】スキルベース組織はスキルの「ブロック」の集合体
スキルベース組織はスキルの「ブロック」の集合体。『誰もが成長し活躍する会社のしくみ』(プレジデント社)より。

従来のジョブ型組織は、すでに完成した「家」や「車」といったパッケージ(職務)を並べているようなものです。家の形を変えたり、車の一部を改造したりするのは容易ではありません。

一方、スキルベース組織は、多種多様な形の「ブロック」(スキル)の集合体として組織を捉えます。1つひとつのブロックは、単体でも意味を持ちますが、組み合わせることで家にも、車にも、あるいはまったく新しい何かにも姿を変えることができます。

「スキル」は、「職務」よりも小さく、普遍的な単位です。たとえば、「データ分析」という職は、市場環境によってその内容は変化しますが、それを構成する「統計学の知識」「分析ツールの操作スキル」「仮説構築スキル」といったブロックは、ほかの職務でも活用できる、持ち運び可能な(ポータブルな)能力です。

変化に応じた機動的なチーム編成

組織運営の単位を「スキル」にすることで、私たちは変化に応じて、必要なスキルを持った人材を柔軟に組み合わせ、機動的にチームを編成することができるようになります。

たとえば、ある企業でAIを活用した新しい顧客サービスを開発するというプロジェクトが立ち上がったとします。このプロジェクトには「AIアルゴリズム開発スキル」「UI/UXデザインスキル」「顧客インサイト分析スキル」「プロジェクトマネジメントスキル」など、多様なスキルが必要です。

従来の縦割り組織では、これらのスキルを持つ人材は別々の部署に分散しており、部署間の調整に時間がかかって、プロジェクトの立ち上げが遅れてしまうかもしれません。

しかし、スキルベース組織では、社内のスキルデータが可視化されているため、誰がどのようなスキルを持っているのかを瞬時に把握できます。そして、部署の壁を越えて必要なスキルを持った人材を素早く集め、プロジェクトチームを組成することができます。

プロジェクトが終了すればチームは解散し、メンバーはまた別のプロジェクトや役割にアサインされます。まるで、状況に応じてフォーメーションを変えるサッカーチームのように、ダイナミックに人材を再配置することができます。

このような、状況に応じて柔軟にチームを編成し、迅速に価値を提供する組織運営の手法は、「アジャイル(俊敏な)」な組織運営と呼ばれます。スキルベース組織は、こうした組織運営を実現するために不可欠な基盤となります。