私の働いている介護業界は給料が低く、現在の年収は350万円です。妻の収入を合わせた世帯年収でも600万円ほど。自分が好きで選んだ仕事のせいで、将来子供がやりたいことをやらせてあげられないのではないか……。そう考えることがあって、お金に関して不安と危機感がありました。
そこで2020年のコロナショックで相場が下がったとき、株を本格的に始めました。それ以前にiDeCoはやっていたのですが、個別株はどう買ったらいいかわからず、最初は勧められたオリックス株を100株購入してみました。そのときから、無料のYouTubeやブログで株の売買について少しずつ学んでいきました。
最初に配当金をもらった銘柄は、三菱商事です。1株だけ買ったら3カ月後に55円が振り込まれたことに衝撃を覚えました。「100株買えば5500円になる!」と、株数を積み上げていけばリターンが増えていくことを実感したからです。
私は投資において、「配当金の最大化」を重視しています。それは家族のためにすぐ使えるお金を増やしたいからです。現在の配当金は月約8万円で、26年には月10万円に到達したいと考えています。
一方、「資産の最大化」にはあまり関心がありません。400万円の元手で株を始め、3000万円を超えたときは、「これでお金で苦労することが減りそうだ」と思えて安心感を覚えました。しかし、4000万円を超えたときは、「狂った相場だな」と思うだけで、特に感慨はありませんでした。資産形成の途上にある今は、株数を増やしていきたい気持ちが強いので、株価が上がると「嬉しい」ではなく「買いにくくなった」と感じます。株価が上がるのは資産形成の最後の最後でいいと思っています。インデックス投資は手法として合理的だし、自分も少し保有していますが、キャッシュフローを得られない投資は自分には合わないと感じます。
流行で投資すると株を保有する理由を見失う
現在、日本企業ばかり約40銘柄を保有しています。銘柄を選ぶ際は、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)を見て、割安かどうかを確認します。その企業が取り組むビジネスに共感できるかどうかも大事なポイントです。流行や雰囲気で投資すると、株価が下落した際に保有し続ける理由を見失うからです。また、株主還元に対する方針や配当利回りも重視しており、配当利回りは最低でも3.5%以上を目安にしています。
今まで特にお世話になった銘柄は、最初に買ったオリックスと、化学専門商社の稲畑産業です。オリックスは業績がずっと安定していて、私が投資を始めてから配当は1.5倍、株価は3倍になりました。34年度に純利益1兆円を目指すという方向性も、株主として見守っていきたいと思えるポイントです。稲畑産業は株主還元の意識が高く、最近増えてきた累進配当を早くから打ち出していました。私のポートフォリオで、最も多く配当金を受け取れる企業になっています。
投資スタイルとしては、毎日相場を見ながら、1株単位でコツコツ積み上げるように買っています。取得単価を抑えて、リスクを大きく取らずに済むからです。買いたい株が急騰しているようなら静観して、下がり始めている別の銘柄に変えたりと、その日その日で自分なりに考えています。新NISAの成長投資枠を利用していますが、世帯年収が約600万円なので、夫婦合わせて成長投資枠の上限480万円を毎年埋めるのは難しく、できるかぎり使い切れるように励んでいます。つみたて投資枠は夫婦で毎月1000円ずつだけ買っています。
この先の目標は、28年までに月の配当金を15万円にすることです。子供2人が同時に小学校に通う期間が28〜30年なので、その間は配当金を使いながらなるべく家族旅行に行って思い出をつくりたい。将来はその写真をアルバムに綴じて、何度も見返す姿を思い描いています。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2026年1月30日号)の一部を再編集したものです。
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