協会けんぽなみに引き下げるのに必要な公費は5519億円
参議院議員の小池晃氏(日本共産党書記局長)はこう話す。
「国保料が高すぎるのはまさに間違いがありません。もともとは国保加入者のうち農林水産業4割・自営業者4割だったけれども、今は年金生活者が4割、非正規雇用者が3割です。いってみれば“貧困者の保険”になっている。構造的な問題に加えて、都道府県ごとの保険料水準の統一で、値上げの圧力もかかり、今後は子育て支援金の負担も入ってくるのでさらに引き上がるでしょう。事態が悪化する恐れもあります。一方で、私が10年前から訴えていた、子どもの保険料に対する軽減措置は前進しています。日本共産党としては国保に対して公費1兆円の投入を政策に掲げていますので、今後それが前に進むようにがんばっていきます」
「最低、5500億円(公費投入)ね。国保を協会けんぽなみにするのに」と、上田氏も再び口を開く。政府は今年、市町村国保の保険料負担率を協会けんぽなみに引き下げるのに必要な公費は5519億円と試算している。
「がんばっていきましょう」と上田氏は言った。「党派をこえて」と、小池氏も応じる。
だがこの懇談会に自民党議員や、社会保障改革を訴える日本維新の会の国会議員は、ひとりも参加しなかった。どうも「社会保障」という枠組みに「国保」が頭にないような気がしている。残念でならない。
国民が一生に一度はお世話になる可能性が高い
最後に、本稿を執筆するのに私はずいぶん悩んだ。高い、高いとわめき、結局は「国庫負担金を上げてくれ」では、記事を出す意味がないような気がしたからだ。それを相談すると、『プレジデント』誌の星野貴彦編集長がこのように述べた。
「国保料が高すぎる、というのはおかしいと思います。例えば『最低賃金の月額相当の何割分を国保料率とする』などの基準が必要ではないでしょうか。健康保険のために、健康で文化的な生活が営めないというのでは本末転倒です」
確かにその通りだ。自分だけでなく、周囲の国保料の負担に苦しむ働き世代をみても思う。また先に述べたように国民が一生に一度はお世話になる可能性が高い健康保険のことだ。だからやっぱり何度でも言うしかない。国民健康保険料が、高すぎる。

