嫌いだった、家族総出の「駅弁」家業

ただ、浩子さんは家業が心底嫌いだった。年中無休で、家族旅行は夢のまた夢。「とにかく家がうるさかった。食卓では商売の話が日常茶飯事だし、注文の電話が入ったらご飯を食べていても手を止めて家族総出で駅弁を作るから」

逃げ場は本の世界だった。アルセーヌ・ルパンや怪人二十面相などシリーズものを端から借りて読み、「学校で一番図書館を利用した子」と先生から言われた。

高校は進学校に入学するも、2年生から勉強漬けの環境に馴染めず、起立性低血圧症で朝起きるのも苦痛に。それでも休日は家業の手伝いに追われ、悶々とした日々が続いた。