テレワークを推進する企業が増える中、新人育成の在り方も大きな転換点を迎えています。先輩として、上司として、彼らにどう接すればいいのでしょうか。これまでのやり方や価値観をどう変えていくべきなのか、リクルートマネジメントソリューションズにて新人育成研修を専門にする桑原正義さんに聞きました。
在宅ワークをする若い女性がウェブ会議に参加している
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat)

1.「何かあったらいつでも言ってね」と言う

緊急事態宣言が解除されてからも、3密を避けるため、あるいは生産性向上のためにテレワークを続ける会社が増えています。今後は、オフィスで行う仕事とテレワークを組み合わせるハイブリッドな働き方が当たり前になっていくでしょう。

そのような状況で新人を抱えるマネジャーが一番やってはいけないのは、「何かあったらいつでも言ってね」といって、部下から声をかけてくるまで動かないことです。

特に、入社と同時にコロナ禍の影響を受けている今年の新入社員はかなり不安定な状態です。彼らの一番の不安は「(例年と比べて)十分な指導を受けていないのに、仕事ができるんだろうか」で、その次が「職場の人たちとうまく人間関係を築けるだろうか」です。

そんな彼らが「何かあったら聞いて」と言われても、なかなか自分から声を上げづらいでしょう。受け入れる側も、接点がオンラインだけという状況では新人のケアが手薄になりがちです。最悪の場合、「私は関心をもってもらえていない」「役に立てていない」と新人の不安はますます膨らんでしまいます。

そうならないためには、マネジャーのほうから「あなたのことを気にかけていますよ」という一貫したメッセージを伝えていくことです。それほど多くの時間はかけられないとしても、1日1回、チャットで「調子はどう? とか「悩ましいこととかない?」といった声掛けがあるだけで、新人は「忙しい中でも、私のことを気にしてくれているんだな」と感じ、安心できるはずです。