3月2日ドイツ・ハノーバーで、世界3大デザイン賞の一つに数えられる「iFプロダクトデザイン賞2010」の授賞式が行われた。iF賞は、その名のとおり工業製品を対象とするデザイン賞だ。今回は世界38カ国から2486点の工業製品がエントリーし、778点が受賞の栄誉に輝いた。

森田アルミ工業は従業員45名。忍び返し「AG」は「グッドデザイン賞2009」に続く受賞となった。

森田アルミ工業は従業員45名。忍び返し「AG」は「グッドデザイン賞2009」に続く受賞となった。

その受賞製品のひとつが、森田アルミ工業(大阪府阪南市)のアルミ製忍び返し「AG」だ。忍び返しといえば、屏の上などに取り付けて侵入者を防ぐもの。従来は、ガラス破片をコンクリート屏の上に埋め込む、有刺鉄線を張り巡らせるなど無粋なやり方も多かった。AGの場合は、忍び返しという意表を突くニッチな商材に、街並みとも調和する洗練されたデザインを取り入れ、独創性ある仕上がりとなった。

製品の認知度、品質、信頼性の高さをアピールするには、賞は有効な手段だ。とくに十分な販促費をかけることができない中小企業にとって、受賞の栄誉はありがたい。もちろん、どんな賞でも販促に役立つわけではない。審査が公平、透明性と権威があることが第一条件。そのうえで、知名度があるほうがよい。有名なモンドセレクション、グッドデザイン賞などは、この条件に当てはまるだろう。

ただし、受賞企業が増えると今度は受賞の特別感が失われるというジレンマもある。別の言い方をすれば、賞そのものにもトレンドがあるということだ。その意味で、日本国内で知名度が高まりつつも希少性も保たれているiF賞は今が狙い目かもしれない。

iF賞受賞製品のうち、さらに50点に金賞が授与される。ちなみに今回、日本製品ではコンパクトデジタルカメラ「サイバーショットDSC-TX1」などソニー製品2点、三洋電機の携帯型太陽電池「エネループ・ポータブルソーラー」など4点が金賞を獲得した。