介護の必要が生じたからといって、すぐに介護施設に入所できる可能性は極めて低くなっている。全国各地に5500以上ある特別養護老人ホームは、そのほとんどが満床状態。申し込みから入所までに2年以上かかることも珍しくない。

一方、有料老人ホームの入所には、十分な調査に時間が必要で、高額な費用を考えれば即断することは難しい。また、介護保険の申請からサービス利用まで、手続きに要する時間は1ヵ月を見なければならない実情を考えれば、「在宅介護」の時間を、多くの家族が経験することになる。

介護度が増すごとに重くなる家族の負担
図を拡大
介護度が増すごとに重くなる家族の負担

ところが、この在宅介護をやりくりすることが非常に難しい。家族の問題なのだからみんなで協力すればなんとか乗り越えられるはず、と考えたいところだが現実は甘くない。年老いた夫が妻を介護することによっておこる悲劇が繰り返され、介護の負担によって仕事を辞めなければならない事態に発展するケースも年間14万人に上っている。

さらに、在宅介護のスタート時点でつまずくと、介護施設選びにも悪影響を及ぼす。一刻も早く、介護の現状から逃れたいために、施設選びに失敗してしまうのである。

在宅介護を成功させるためには「家族で抱え込まないこと」とよく言われるが、まさにその通りで、介護にまつわる数多くの問題を解決してくれるキーパーソンとしてケアマネジャーの存在がある。介護保険利用の申請を済ませたあと、サービス利用開始のためのケアプランを作成する際に初めてケアマネジャーとの出会いがある。

全国に100ヵ所以上の訪問介護ステーション、グループホーム、有料老人ホームを運営している株式会社ケア21の依田平社長は、「信頼できるケアマネジャーとの出会いがその後の介護の善し悪しを決める」と主張する1人で、サービス事業者選びのポイントにもなると話してくれた。