ヤマト運輸と並ぶ物流2強の佐川急便。荷物の積み降ろし拠点は年中無休で動いており、そこでは2種類の朝礼が行われている。私が見学したのは東京・港区の配送を担当し、380人のドライバーを擁する城南店だ。

取材日は2月上旬。冷暖房のない場所だがスタッフはてきぱきと働く。あいさつも返事もすべて「ウォッス、ウォッス」の会社だ。

取材日は2月上旬。冷暖房のない場所だがスタッフはてきぱきと働く。あいさつも返事もすべて「ウォッス、ウォッス」の会社だ。

朝7時から行われる管理職朝礼は業務連絡が主で、7時半から開始されるドライバー朝礼は、管理職がドライバーの体調を確認して送り出すことが目的である。管理職朝礼はオフィスでやるが、ドライバー朝礼は積み降ろし作業の現場が会場だ。横でベルトコンベヤーがフル稼働しているから、参加者は大声を張り上げなくてはならない。

朝礼は「ウォッス、ウォッス」というあいさつ兼気合入れからスタートする。体調の点検、1日の配達目標を確認した後は、管理職が店長の訓示をドライバーに伝える。

城南店の長谷川博文店長はスピーチ上手で知られる。その日は「居眠り運転に注意」というものだった。

「ぽかぽか陽気になるとつい、うとうとしてしまいます。走行中は左右の窓を3cm開けて、風を入れましょう。それからシートの角度は102.5度にしてください。人間工学的には、この角度が最も眠くならないとされています」

長谷川店長の訓示は科学的でユーモラスなものだった。佐川急便は体育会的ではあるが、現場は明るく、熱気にあふれている。

ドライバー朝礼に出ていた富岡絵美さんは20代の女性ドライバーだ。同社では4年前から女性ドライバーが増えており、現在は1882人が在籍している。女性管理職もひとり誕生した。

「朝礼に出ると気合が入ります。それと、毎日の目標を確認してから仕事に取りかかることができる」(富岡さん)

朝礼の後、店長と管理職は全員が列を作り、ドライバーを送り出す。息子や娘を送り出しているような気分なのだろう。笑顔で手を振っていた。

(尾関裕士=撮影)