見えない血管だからこそ放置すると危険

いわゆる筋肉以外にも、血流や血管の状態が強く影響する部分があります。

たとえば肝臓や腎臓は、細かい血管が張り巡らされてかたちづくられる「血管のかたまり」のようなもの。そこにきれいな状態の血液がサラサラと流れ込むことで、毒素を分解したり血液を濾過したりするという、臓器本来の機能が十全に働くようになっています。

ほかにも、日々の食事で消化・吸収が行われるのは、血液がしっかり行き渡ることで胃腸が活発に働くからです。

中野ジェームズ修一『血管を強くする 循環系ストレッチ』(サンマーク出版)

つまり、もし動脈硬化などによる「血管機能の衰え」が確認できたとしたら、それは同時に臓器も障害を受けやすい状態になっているということ。もし、少し走っただけで息切れがする、便秘や下痢を繰り返す、胃がもたれるなどが気になるとしたら、それは臓器が弱り始めたことを示すシグナルかもしれません。

血管機能の衰えを放置すると糖尿病になり、さらに血管のダメージが蓄積されると、次の段階としてあらわれるのが臓器の障害です。

たとえば高血糖の状態が続くと腎臓の毛細血管が傷ついて血液を濾過する機能が働かなくなり、血液に老廃物が溜まったままに。糖尿病から腎不全になると、週に数回病院に通って血液の濾過をしてもらう人工透析が必要になります。

ウォーキングよりも多くの筋肉を動かせる

動脈硬化の因子となる高血圧、高血糖、脂質異常症といった異常がある人、またその予備軍の人が抱えているちょっとした不調にも、血流や血管の状態が深く関連していることが考えられます。

「運動不足か食べすぎなのか、このところどうも調子が悪い」という人は、ひそかに血管の劣化が進行しているのかもしれません。まずは1日に1回、血流をよくすることを心がけて、しなやかで強い血管を取り戻しましょう。

循環系ストレッチは、肩甲骨まわり、脊柱、股関節といった日常生活で動かす機会が激減した部位をしっかり動かし、血管の幹線道路が集中する部位を刺激する、血流を上げ血管の状態をよくするためにつくられたプログラムです。

上半身の動きが激減した部位をしっかり動かしながら下肢の筋肉を伸び縮みさせ続けるので、運動不足による不調や肥満にもとても効果的です。ウォーキングよりも多くの筋肉を大きく動かすため、パワフルに、そしてすばやく体の巡りを改善できます。

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