親と子は互いに束縛し合う関係
両親からの刷り込みの被害を特に強く受けるのが、長男長女たちです。
親になって子育てをすると分かりますが、初めての子どもである長男長女に対しては、どうしても気持ちが入り過ぎ、厳しくしつけてしまいがちになるのです。
弟や妹が生まれれば、それだけ家庭内に多様性が生まれる余地ができますが、一人っ子の場合は両親との密室状態になってしまうため、さらに過度な刷り込みが起こってしまうことも。
また、第二子、第三子が生まれれば、親も子どもたちの個性を目の当たりにするとか、子どもたちを通じて関わる保護者や保育者、教師といった他者との接点が増えてくることで、子どもはすべて同一でないことや、いろんな価値観があることを学びます。しかし、一人っ子だと、どうしてもそうした機会は少なくなってしまいます。
子どもにとって、親は生活のすべてを左右する生命維持装置ですから、お互いに束縛し合う関係に陥りやすくなるのです。
最大の問題点「価値観が古くなる」
親から与えられたブレインロックの最大の問題点は、価値観が古くなってしまうことです。親たちが受験や就職活動をしたのは、子どもよりも20~30年前ですから、うっかりしていると1世代前の常識を注ぎ込まれてしまいます。
「自分が受験生のときは、単語帳を使って英単語を記憶してうまくいった」とか、「大手の銀行に就職するのが一番の勝ち組」などというのが、その代表例です。
当然ながら、古い常識のままアップデートされていない親からブレインロックをかけられた子どもは、テクノロジーや経済状況が刻々と変化している現代社会の中で、1世代前の考え方で戦う羽目になります。
これは、子どもにとって致命的です。
人類は新しい世代ほど賢くなるもの
一方、人類は新しい世代ほど賢くなっている──と指摘する研究者がいます。
オタゴ大学のジェームズ・フリン教授が、過去100年にわたってIQが確実に上昇している事実を明らかにしたことから、この現象は「フリン効果」として広く知られています。