私たちをさまざまな形で制約する「ブレインロック(社会的洗脳)」の中でも、最も強固で、解除が難しいのは「善意の親」からのロックだ、と経済評論家の勝間和代さんは指摘する。新著『できないのはあなたのせいじゃない』より、深く刷り込まれた親からのブレインロックを解除するための唯一の“武器”を紹介する──。(第2回/全5回)

※本稿は、勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

「昭和世代の理想」に基づいた“呪縛”

まず知ってほしいことは、私たちのブレインロックの“呪い”は生まれたときから始まる、ということです。

私の会社の共同経営者である男性は、今でこそ様々な会社を経営したり、YouTuberとして自身のチャンネルで活発に情報を発信したりと、自由闊達かったつに活躍されています。

ところが、若いころは今とはまったく異なる人生を歩んでいました。社会人第一歩は大手銀行に就職し、20代で結婚して戸建てを購入するなど、まさしく、昭和世代の親が理想とする非常にコンサバな人生を着々と歩んでいたそうです。

当時を振り返り、「長男として強く刻み込まれた親からのブレインロックの影響はあまりに大きいものがありました。それを自力で外すのに、10年以上かかりました」と語っています。

戦う老若男女の手
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

長男長女ほど、より強いブレインロックがかかる

同じように、無意識のうちに親の価値観や考え方に強く影響を受け、縛られ、あるとき突然その事実に気が付いて呆然とする方は少なくありません。

勝間塾で「ブレインロック解消セミナー」を開催したときも、参加したたくさんの方が自らの内に潜むその存在に驚いたものでした。幼いころから当たり前だと思っていた常識や、自分を操ってきた価値観がいかにおかしなものであったか、まったく気が付いていなかったからです。

両親から与えられる代表的なブレインロックには、次のようなものがあります。

「いい大学に入って大企業に就職するのが一番」
「結婚してマイホームを持ってやっと一人前」
「男の子は男らしく、女の子は女らしく」
「嫌なことも我慢してやらないと、わがままな大人になる」