「活動費として一人年間300万~400万円かかることもありますが…」

富田は親として誇らしい気持ちになった一方で、大きな衝撃を受けることになる。

ナショナルチームをとりまとめる全日本スキー連盟から「活動費として一人あたり年間300万~400万円かかることもありますが、大丈夫ですか」と言われたのだ。強化指定選手とはいえ、合宿費や遠征費などは「持ち出し」も多いのだ。

「本人たちのやる気があったから、それを親が潰しちゃいけない。娘たちには『お父さんもお母さんもなんとか頑張るから、ふたりは競技でやれるとこまで頑張れ』と話した。だから借金はかさむ一方なんだ(笑)。嫁さんと一緒に、ああしよう、こうしよう、と考えながら、自転車操業状態。正直、お金の面が一番苦労しているんだけど、どれぐらいかかっているかふたりには伝えている。借金があることも知っているよ(笑)」

契約しているスポーツメーカーから結果に応じてボーナスが出ることはあっても、商品提供がメイン。2人をサポートしてくれる企業はまだまだ少ないという。

全日本スキー連盟の強化指定選手は前年度の実績でランクが決まり、国内外の遠征費の負担割合が変わってくる。今年度でいうと、せなは全額負担してもらっているが、るきは半額負担。ふたりは11月から遠征しているものの、それまではトレーニングの傍らアルバイトをしていたくらいだ。

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世界最高峰のX Gamesのスノボ競技での優勝賞金は5万ドル(約575万円)。また、国内のウインタースポーツはプロといっても野球選手のように大金を稼ぐのは難しく、陸上競技のように社員選手として抱えてくれる企業も非常に少ない。

国際舞台で活躍しても、金銭的に恵まれているわけではないのが現状だ。そのため、両親が姉妹のために負担した累計の援助額は、少なく見積もっても数千万円単位になるだろう。