「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」の世帯所得は低い

次に見ていきたいのは夫婦の学歴組み合わせと「お金」の関係です。図表2は夫婦の学歴組み合わせ別の平均年収を示しています。

「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」では、ほかの組み合わせの中で最も妻の年収が高くなっています。しかし、その差はあまり大きいと言えません。

これに対して、夫の年収を見ると、「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」の値が最も低くなっています。夫の年収がこのように低くなる背景には、夫の学歴構成比の違いがあります。

「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」では妻よりも相対的に学歴の低い夫の比率が高まります。この結果、どうしても大卒割合が低くなります。学歴と平均年収は連動するため、「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」では夫の年収が低めになるというわけです。

次に、世帯年収を見ると、「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」の値が最も低くなっています。これは一家の大黒柱である夫の年収の違いをダイレクトに反映しています。

ちなみに、夫婦の学歴組み合わせと妻の1日の家事・育児時間の関係を見ると、「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」の世帯と他の場合でほとんど差はありませんでした。いずれの夫婦の組み合わせでも、妻は1日の家事・育児の7割以上を実施しており、その負担は重いと言えるでしょう。

「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」の妻の幸福度は低い

「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」は世帯所得が相対的に低くなっています。そして、妻の家事・育児負担も他の場合と変わらず重いものです。これらの状況は、決して良いものではありません。

この影響は幸福度の指標にも顕著に表れています。

図表3は妻の幸福度、日常生活全般に対する満足度(生活満足度)、夫婦関係に対する満足度を5段階で評価したものを夫婦の学歴組み合わせ別に示しています。

この図では値が大きいほど各満足度が高いことを意味しますが、いずれの指標でも「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」の値が一番低くなっていました。この結果は、学歴組み合わせの中でも、「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」の妻の幸福度、生活満足度、夫婦関係満足度が最も低いことを意味しています。

背景には、妻が直面する相対的に低い世帯所得や重い家事・育児負担が大きく影響を及ぼしていると考えられます。