夫婦の「学歴組み合わせ」にも異変あり

男女間の大学卒業率の逆転は、家族の在り方にも影響を及ぼします。

中でも興味を集めるトピックの1つが「夫婦の学歴組み合わせ」の変化です。夫婦の学歴組み合わせとは、その名のとおり、「どのような学歴の男女が夫婦になっているのか」を見たものです。

実は現在、女性の高学歴者比率の増加を受け、「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」がOECD諸国で増加しています。そのかわりに「夫の方が妻よりも学歴の高い夫婦」が減少傾向にあるのです(※1)

このような変化はこれまで見られなかった傾向であり、夫婦の在り方の歴史的な転換点にさしかかっていると言えるでしょう。

では、日本の現状はどうなっているのでしょうか。

結論から言えば、日本でも「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」がじわりと増えています。

摘んだ書籍の上に学位帽
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国立社会保障・人口問題研究所の福田節也氏らの分析によれば、日本における「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」の割合は1980年で全体の12%程度でしたが、1990年には16.1%、2000年には16.2%、そして2010年には21%にまで至っています(※2)

この日本の動きは、世界のトレンドと一致したものだと言えるでしょう。

[1] Esteve, A., Schwartz, C., Van Bavel, J., Permanyer, I., Klesment, M., & Garcia, J. (2016). The end of hypergamy: Global trends and implications. Population and Development Review, 42, 615–625.
[2]福田節也・余田翔平・茂木良平(2017) 日本における学歴同類婚の趨勢:1980年から2010年国勢調査個票データを用いた分析, IPSS Working Paper Series (J) No.14.

専門学校・短大妻と高卒夫の組み合わせが最多

「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」の増加は、新しい動きであり、その実態は興味深いものです。ここで気になるのは、「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」はどのような夫婦なのかという点です。

先ほどの福田節也氏らの研究では、夫婦の学歴組み合わせの詳細な内容も示しています。その結果を見ると、2000年と2010年において妻:専門・短大卒&夫:高卒が50%以上の割合を占めていました。

これに対して、大卒の妻と高卒、専門・短大卒の夫の組み合わせは徐々に増えているものの、その比率はまだ少ないと言えます。要は「夫よりちょっとだけ学歴の高い妻」と「妻よりちょっとだけ学歴の低い夫」がマッチングしているというわけです。