経済的に保険に入る余裕もない場合は、ばか高い歯科治療費を全額負担するか、放置するかの二者択一しかない。だから、必死に予防に励まざるをえないのだ。

口臭はモテ度にもビジネスにも影響する!

これは、歯科だけでなく、医科でもそうだが、国民皆保険は良しあしだと思う。いつでも誰でも、病院に安心してかかれるという油断が、日本人から「予防」という観点を奪っているからだ。

「病気になれば、医者や歯医者に行けばいい」という他力本願な人が、日本にはどんなに多いことか。本来、成人の経験するほとんどの病気は、虫歯や歯周病も含めて生活習慣病だ。自分のライフスタイルが病気を招くのだから、自分にしか予防も改善もできない。

とはいえ、なかなか病気になった後の自分について、想像力を働かせることは難しいものだ。

将来の虫歯や歯抜けになるリスクについては、あまり実感が湧かないもしれない。でも、口臭は、リアルな問題だ。人間関係にも、モテ度にも、ビジネスにも、人生のごきげん度にも影響する。

だから、「におい」を改善することをモチベーションの源泉にしてみてはどうだろうか。健康は、結果として付いてくるものだ。

悪臭は、病気のサインと心得よ――口臭の原因

人間関係や人生に色気をもって、自分の体臭や口臭をよくすることは、結果として健康状態の改善につながる。

なぜかといえば、前にも述べたが、においは、心身のコンディションを反映するものだからだ。

「口臭や体臭が強い」、もしくは、「普段とは違ったおかしなにおいがする」と感じたら、心身のコンディションを見直してほしい。

口腔内や腸内、皮膚などの常在菌のバランスや、内臓の機能、代謝の状態、ストレスやメンタルの状態が、口臭や汗、尿、おならや便などのにおいを常に変化させている。

口臭については、8割が口腔内環境の問題だ。残りは、体内の問題で、呼気を通じて口臭として感じられる。ストレスも、口臭を強くする原因になる。

健康な人の口腔内には、約700種類、歯磨きなどで口腔ケアが十分できている人では約2000億の常在菌(細菌・真菌)が暮らしている。

つまり、口の中は、菌やカビだらけなのだが、健全な状態では、彼らは常在菌として共生しており、悪さはしない。互いにバランスをとりながら、口腔内のpHを保ち、病原微生物の侵入を防いだり、繁殖を防いだりしている。