主義主張のない、支離滅裂な言動
また、トランプ氏は、現在のグローバル経済の仕組みや過去40年間にわたる日米貿易交渉の歴史をまったく理解していない人物である。
彼の発言や方針には一貫性がなく、今日言ったことを翌日には平然と覆すことも珍しくない。
たとえば、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長を前日までは「解任する」と言っていたのに、株価の下落を見ると、すぐに「解任しない」と前言を撤回した。その後、再び解任すると言い出している。このように、彼の言動はほとんど支離滅裂であると言ってよい。
アメリカに増幅するトランプ的な人々
しかし、前述したとおり、こうしたトランプ氏の姿勢は、彼の岩盤支持層からは「よくやっている」と評価されている。「大統領選で掲げた公約どおりのことをやっている」と心底感じている人々が少なくないのである。
一方で、中間層、すなわち2024年の大統領選でトランプ氏とカマラ・ハリス氏のどちらを選ぶべきか迷い、最終的にトランプ氏に投票した人々は、徐々に「トランプはやっぱり駄目だ」という思いに傾きつつある。
アメリカ全体を見ても、私は「ほとんどのアメリカ人は頭がおかしくなっているのではないか」と思わざるを得ず、トランプ的な人々が増えている現状には、強い警鐘を鳴らしている。
発言の誤りを認めない厚顔無恥さ
実際、トランプ氏の無知蒙昧ぶりは目を覆うばかりである。彼が語る内容には、事実に反するもの、ありもしないことが多く含まれている。
たとえば、日本車に関して彼は「日本のクルマはアメリカ中で走っているが、アメリカのクルマは日本に1台も入っていない」と主張する。
しかし、現実には日本にもジープやキャデラックなどのアメリカ車は存在している。さらに、自動車の非関税障壁について、トランプ氏は「ボウリングの球を20メートル上から落としてへこんだら、そのクルマは日本で輸入できない」と述べたが、これは人間衝突安全基準の話であり、事実とまったく異なる。
こうした「ありもしないことを確信持って述べて、それを訂正しない」のが彼の言動の特徴である。しかも、正しい情報が提供されても、彼は誤りを認めないどころか、知らんふりをして、話題をそらそうとする。
なぜそうなるかと言えば、彼は自分の意見に同調して、それをさらに増幅してくれる者だけをチームに選び、正しいブリーフィングがなされない環境に身を置いているためである。たとえ正しい情報を得たとしても、それを認めず、知らぬ顔をして次の話題に移るのである。
