“花子の幸運ぶり”が解せなかった

中園さんは「あんぱん」の前に、「花子とアン」(2014年度前期)を書いている。『赤毛のアン』の翻訳者である村岡花子をモデルにしたドラマだ。『赤毛のアン』の日本における人気は本国・カナダ以上と言われている。

中園さんは「アン大好き元少女」を主たる視聴者と見定めたに違いなく、ヒロイン・花子(吉高由里子)はアンを重ねた人物像にしていた。ファンはうれしかったに違いないが、解せなかったのが花子の突出した幸運ぶりだった。

兄1人と妹2人の4人きょうだいの中で、本が大好きだった幼い花子を父が東京の女学校に送り込み、そこで花子は英語を身につけた。ところが残り3人といえば、兄(賀来賢人)は奉公に出て、上の妹・かよ(黒木華)は製糸工場へ行き、下の妹・もも(土屋太鳳)は北海道の開拓民のところに嫁ぐ。2人ともとんでもなく過酷な環境に置かれ、共に逃げ出してくるのだ。