なぜさかなクンの話は人を惹きつけるのか

話していることの正しさや詳しさだけでいえば、図鑑や論文からも同じような情報は得られるでしょう。だけどやっぱり彼から聞きたい。「魚のことだったらこの人に聞きたいな」と多くの人に感じさせているわけです。

それはなによりも、「好き」というパッションの強さゆえです。魚が好きすぎるということが滲み出すぎてしまっているから、人を魅了するわけです。

ですから、営業やプレゼンをして、誰かにファンになってもらいたいと思うなら、まず自分が熱狂的にそのサービスなりのファンになるということが大事になります。

もちろん、相手がそれを受け入れるかどうかの保証はありません。ありませんが、「好きだ」という熱量があると、聞き手は「なんかいいな」とか「こんなにこの人を熱狂させる魅力があるんだろうな」と感じて、その先をもっと聞いてみたいと興味を持つものなのです。

面接のビジネスパーソン
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「練習量」ではなく「本番量」を増やす

そのようにアウトプットをすることに対して、失敗するのが怖い、失敗したら落ち込んでしまうという人もいます。

僕が思うに、落ち込んだりがっかりしたりするのは、暇だから。

だから、暇がない状態にするというのが一番の解決策です。アウトプットの機会をどんどん増やせば、その中でちょっとした調整をし続けることになるので、納得できるようになると思います。

「練習量を増やす」という表現がありますが、僕は「本番の量」と言っています。本番イコール練習にしてしまう。

ステージの上で話をするような「本番」をたくさん用意するというのはちょっと負荷が高いと思うので、ちょっとした本番でかまわない。いわば、「プチ本番」をいくつも作るわけです。例えば会議の最後の3分を、人前で話すプチ本番の良い機会だと思って、アウトプットする。

こういう機会をたくさん用意すると、結果的には暇がなくなって、つぎつぎに自分のアウトプットにアップデートがかかる状態になるので、落ち込んでいる暇がなくなるのではないかと思います。