※本稿は、和田秀樹『60歳からの「手抜き」の極意』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

検査数値を気楽にとらえる
健康診断や人間ドックを、真面目な日本人は毎年きちんと受けます。そして、まるでテストの結果を知る時のようにドキドキしながらその検査結果を受け取ります。
そして、正常値を外れてしまった場合、大変だとばかりに慌てる人が多いのです。けれども、健診の結果はたとえて言うなら模試の結果のようなもの。そこで大騒ぎをする必要はないのです。
昔は脳卒中で死ぬ人が多かったこともあってか、血圧にはとても敏感な人が多いようです。病院には自動血圧計が設置されていることも多く、通院のたびに律儀に計っては、計測結果をいちいち気にします。
そして「先生、血圧が141だったんですがどうしましょう」と悲壮感たっぷりに訴える患者さんもいます。
正常値血圧は、医療機関で測定した診察室血圧で120/80mmHg以下、高血圧は140/90mmHg以上とされています。
141ならわずか1超えただけのことなのですが、数字を目にするとどうしても気になってしまうのでしょうか。
意外に知られていないことかもしれませんが、血圧にしても血糖値にしても、1日のうちにかなり変動するものです。141mmHgはたまたまその時の数値であって、およそ160mmHgくらいまでは誤差の範囲だと思っています。
検査データについても、血圧や血糖値はかなり変動があるものです。頻繁に測ってはその時の数値に一喜一憂するのではなく、明らかに高くなった時に注意するという程度でかまわないのです。検査数値をもっと気楽にとらえてもいいのではないでしょうか。